あなたの頭痛・腰痛が治らない本当の理由は、脳の勘違いかも!?
痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<4>
◆1カ所だった痛みが、何カ所にも広がるのは何故か?
慢性痛を訴えている人は全人口の18〜25%はいるといわれています。長引く痛みが1カ所あるだけでも苦痛ですが、痛みが本格的に慢性化した場合は、その痛みが全身に広がることが多々あります。
「最初は膝だけが痛かったのに、気が付けば肩も腰も痛くなって、全身が痛くてツラい……」と訴える患者さんは驚くほど多く、痛みを抱えて悩んでいるのは決して あなた一人だけではありません。
その方たちは、一度にたくさんの場所に痛みが起こるようなことを何かしたのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。それは脳が過敏化しているからなのです。
例えば、あなたの自宅がドアをこじ開けられて泥棒に入られたとします。そうしたら次からは泥棒に入られないよう、家中のあらゆるところに防犯対策を施します よね。そんなときにネコが家の庭を通ったとしても、「もしかしたら泥棒 」と、ビクッとすることもあると思います。
◆過敏化した脳が、次々痛みを作り出す
1カ所の痛みが原因になり、全身が痛くなる慢性痛はこれと同じ原理です。最初 は特定の部位に何かの原因があったのが、痛みが慢性化することで、脳が過敏になり、それ以外の部位も過剰に反応するようになってしまうのです。実際はそれほど腰が悪化していなくても、脳が過敏に反応し、大騒ぎをしている状態。痛みが慢性化してきて、あちこちが痛いというのは、まさにこういった状態です。
また、痛みが慢性化すると、服が触れただけでも痛くなったり、気温や気圧が変化しただけで痛くなるなど、普段は痛みを伝えない神経も痛みに対して必要以上に 過敏になってしまい、ちょっとしたことでさえ痛みとして感じるようにもなってきます。
それだからといって「全身が痛む」からとレントゲンを撮ったとしても、その痛みの原因を見つけることは困難です。
なぜなら、その部位に痛みの原因はないんですから。
あちらこちらが痛むということは、脳が過敏化している、いわば「脳の痛み」ということもできます。
(『慢性痛は自分で治せる!』をもとに構成)