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知っておきたい「痛み」の基礎知識。膝の痛み⇒骨盤の歪み⇒3つのタイプがあった

痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<9>

知っておきたい3つのタイプ

骨盤がゆがみ方は大きく3つのタイプに分けられます。

●骨盤が前傾している【ストレス型】

 

 このタイプは、「気が付けば姿勢が前かがみになっている」、「猫背ぎみ」といった姿勢の問題がきっとあるはず。特に若い方に多いのがこのタイプです。この場合は前かがみになることで、腸腰筋(脊柱・骨盤と大腿骨をつなぐ筋肉)や大腿四頭筋(骨盤前面から膝にかけて伸びる筋肉)が、太ももの裏側にあるハムストリングス(骨盤後面から太ももに伸びる筋肉)などよりも強くなっていることから骨盤が前方へ向かって引っ張られ、その結果、前傾してしまっています。

●2つ目は、骨盤が後傾している【老化型】

 

 歳をとるとよく背中が丸くなってしまうのは、骨盤が後傾してしまっているから。若い頃に比べ、足を上げる役割を担う腸腰筋や大腿四頭筋が弱まることで、太ももの裏側にあるハムストリングスが強まり、その結果、骨盤が後方へ向かって引っ張られ後傾しています。

 

 

●そして3つ目は骨盤が左右のどちらかに傾いている【生活習慣型】

 

「カバンを同じ側でしか持たない」「足を組んでしまう」など、毎日の生活習慣によって、骨盤の高さがに違いが生じ、左右のどちらかに傾いているタイプ。この場合は骨盤を引っ張り上げる腰方形筋(骨盤と肋骨をつなぐ体の深層にある筋肉)や腹斜筋(横腹にある深層筋)の、左右のどちらかが強まることで、その逆側の筋肉が弱まってしまい、骨盤の高さが違ったり、ねじれたりします。

 骨盤のゆがみは体にとっては重要問題。実は、腰痛や肩こりなどの症状のほぼ8割は骨盤のゆがみが原因といっても過言ではないかもしれません。骨盤のゆがみが原因で体の各部位には次のようなトラブルが起きやすくなります。
● 腰痛 ●膝痛 ●股関節痛 ●冷え性 ●むくみ ●便秘 ●尿漏れ ● 生理不順 ●ひどい生理痛 ●不妊 ●新陳代謝の低下による肥満 ● 疲れやすさ ●肌荒れ etc……

 それぞれ内科的な要因がない場合は、骨盤のゆがみが原因かもしれません。なぜなら、骨盤は体の中心部分にあり、その上には腰や首、その下には股関節や膝、そして、骨盤の中には膀胱や子宮、卵巣などの臓器があります。そう聞けば、骨盤が体全体にとって、いかに重要な部分なのかがわかるかと思います。
 そして、人間は二足歩行ゆえ、立ったときにその負荷がすべて骨盤にかかるようになっているため、骨盤に負荷がかかると、骨盤と関係する部位や臓器にまで不調が出てしまうようにできているのです。
 これまでの私の治療経験を振り返ると、肩や腰、膝の痛みを治療してもなかなか改善しない場合、その理由を探っていくと、その部位に痛みを発する原因をつくっていたのは骨盤のゆがみだったという結果もたくさんあるのです。

『慢性痛は自分で治せる!』より構成

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伊藤 和憲

いとう かずのり

明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。大阪大学医学部生体機能補完医学講座特 認研究員。1972年生まれ。2014年4月、厚生労働省の科学研究費を得て「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」を作成。明治国際医療大学京都桂川鍼灸院「mythos361」 院長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導。また、地下鉄サリン事件やJR福知山線脱線事故の被害者の「痛み」ケアにも当たっている。専門家や一般市民に向けて年に50回以上の講演を行なっている。


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  • 2017.01.21