目上の人をほめてはいけません 第一印象を決めるのは「言葉遣い」
言葉遣いの基本は「敬語」 押さえておきたい敬語の実例 ②
「お上手ですね」よりも「さすがです!」
これは、会社員Aさんのエピソードです。
上司と一緒にお客様のところへ行く途中、二人は外国からの観光客に声をかけられました。ある場所に行きたいのだけれど、道がわからないというのです。
Aさんはちんぷんかんぷんでしたが、上司は流ちょうな英語で案内し、観光客から礼を言われて別れました。
その姿に感心したAさんは、次のように言いました。
「部長って案外、英語がうまいんですね」
すると、上司は苦笑しながら、「ありがとう」と応じましたが、その後は雰囲気が悪くなってしまったそうです。せっかくほめたのに、なぜこんなことになったのでしょうか。
Aさんの対応には二つの間違いがあります。
まず一つは、上司を「うまい」という言葉でほめたこと。日本では、「ほめる」という行為は目上の者がするもの、という考えがあります。たとえば、小さな子どもに「○○ちゃんは自転車に乗るのがうまいね」とか、「字を書くのが上手だね」といった具合です。
もう一つの間違いは、「案外」という余計な一言を付け加えたことです。案外という言葉は「予想が外れる」という意味ですから、このシーンで使うと、「部長は英語なんて話せないと思っていたのに、上手で驚いた」というようなニュアンスになってしまいます。かなり失礼なのがわかりますね。
「案外」のほかに、「意外に」とか、「思ったより」というのもNGワード。無意識に使っている人も多いので気をつけましょう。
では、Aさんはどう言えばよかったのでしょうか。
「部長、さすがですね」「こんなに流ちょうにお話になるなんて、感動です!」「英語力に圧倒されました」「尊敬します!」などが模範解答といえます。
目上の人は「ほめる」のではなく「たたえる」のがポイント。シンプルに、「すごいです」でもいいですし、「勉強になりました」「見習いたいです」などの表現でもOK。そして、余計な一言は付け加えないよう注意しましょう。
■ 目上の人をほめるときは
× うまいですね
〇 すごいです!
× 上手ですね
〇 感動しました!
【ポイント】目上の人はたたえる。
【『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】