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目上の人をほめてはいけません 第一印象を決めるのは「言葉遣い」

言葉遣いの基本は「敬語」 押さえておきたい敬語の実例 ②

この春新入社員になるあなたへ。第一印象を決めるのは、まず「言葉遣い」。そして、その言葉遣いの基本となるのが「敬語」だ。大ベストセラー「頭がいい人の 敬語の使い方」シリーズの著者・本郷陽二氏のシリーズ最新刊、『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』(ベスト新書)から、押さえておきたい敬語の実例を紹介する。

「お上手ですね」よりも「さすがです!」

 これは、会社員Aさんのエピソードです。
 上司と一緒にお客様のところへ行く途中、二人は外国からの観光客に声をかけられました。ある場所に行きたいのだけれど、道がわからないというのです。
 Aさんはちんぷんかんぷんでしたが、上司は流ちょうな英語で案内し、観光客から礼を言われて別れました。
 その姿に感心したAさんは、次のように言いました。
「部長って案外、英語がうまいんですね」
 すると、上司は苦笑しながら、「ありがとう」と応じましたが、その後は雰囲気が悪くなってしまったそうです。せっかくほめたのに、なぜこんなことになったのでしょうか。

イラスト/ホセ・フランキー

 Aさんの対応には二つの間違いがあります。
 まず一つは、上司を「うまい」という言葉でほめたこと。日本では、「ほめる」という行為は目上の者がするもの、という考えがあります。たとえば、小さな子どもに「○○ちゃんは自転車に乗るのがうまいね」とか、「字を書くのが上手だね」といった具合です。
 もう一つの間違いは、「案外」という余計な一言を付け加えたことです。案外という言葉は「予想が外れる」という意味ですから、このシーンで使うと、「部長は英語なんて話せないと思っていたのに、上手で驚いた」というようなニュアンスになってしまいます。かなり失礼なのがわかりますね。
「案外」のほかに、「意外に」とか、「思ったより」というのもNGワード。無意識に使っている人も多いので気をつけましょう。

 では、Aさんはどう言えばよかったのでしょうか。
「部長、さすがですね」「こんなに流ちょうにお話になるなんて、感動です!」「英語力に圧倒されました」「尊敬します!」などが模範解答といえます。
 目上の人は「ほめる」のではなく「たたえる」のがポイント。シンプルに、「すごいです」でもいいですし、「勉強になりました」「見習いたいです」などの表現でもOK。そして、余計な一言は付け加えないよう注意しましょう。

■    目上の人をほめるときは
× うまいですね
〇 すごいです!
× 上手ですね
〇 感動しました!

【ポイント】目上の人はたたえる。
 

『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】

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本郷 陽二

ほんごう ようじ

1947年東京都生まれ。幸運社代表。早稲田大学文学部卒業。

光文社カッパブックス編集部でベストセラーとなった

『冠婚葬祭入門』(塩月弥栄子著)のシリーズなどを担当。

その後、話し方や歴史関係の著作やプロデュースで活躍。

主な著書に『日本人が「9割間違える」日本語』(PHP研究所)、

『頭がいい人の敬語の使い方』(日本文芸社)、

『人を動かす「ほめ言葉」』(中央公論新社)、

『上流の日本語』(朝日新聞出版)、『「知」の強化書』(小学館)、

『使いこなしてみたい「和」の言葉』(実務教育出版)などがある。

最新刊は『一言で印象が変わる さすかと思われる話し方』

(KKベストセラーズ・ベスト新書)


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