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男児強制わいせつ勃発「キッズライン」で見える、 自宅で子どもを任せられる他人の線引き問題

【連載】「コップの中の百年戦争 ―世の中の不条理やカラクリの根源とは―」

■“あたかも自社だけが問題だったわけではない”という横柄な態度と嘘くさい弁明

第11回ベストマザー賞2018を受賞したときの起業家の経沢香保子氏。

  

 ベビーシッターのマッチングアプリ「キッズライン」を利用して、利用者から預かった男児の下半身を触ったとして、元保育士の男が逮捕されたという報道がありました。

 〇男児にわいせつ容疑、シッター28歳男逮捕 両親、アプリで依頼 警視庁|朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S14453729.html

  

 第一報ではこのアプリ名や運営会社の報道はありませんでしたが、やはりと言いますか、その後の追加報道で経沢香保子さんの経営する「キッズライン」であると名指しで記事になりました。橋下浩史さん、グッジョブ。

 〇シッターアプリ大手「キッズライン」で起きた ベビーシッター男児強制わいせつ事件の全容|AERA dot. (アエラドット) https://dot.asahi.com/dot/2020050300008.html

  

 当サイト「ベストタイムズ」の本連載でも、この経沢香保子さんのキッズライン社については違和感を記事にしておったわけですが、ボク言いましたよね。また、社会活動家の駒崎弘樹さんもご自身の『note』で懸念点について論じられています。

 〇【緊急特報】コロナウイルスで「キッズライン」や「ナビタス」など微妙業者が「便乗商法」花盛り問題】 | BEST T!MESコラム https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/11360/

 〇キッズラインのベビーシッターが子どもへの性犯罪で逮捕 〜性犯罪者を保育現場から排除する仕組みをどう作るか?〜 https://note.com/komazaki/n/n4860c7f274a3

  

 本件については、朝日新聞が記事掲載を行った後の4月29日に「当該人物だけでなく、起きているマッチング先でのトラブルを精査し、現状で行われているオンラインでのシッター登録を改めるなどの再発防止の改善計画を組まれるご予定はございますでしょうか」と質問をお送りしていたのですが、プレスリリースが行われた旨の回答が一文返答としてあったのが5月8日になってからでした。

 いままさに、男児わいせつ事件というシッターの信頼に関わる事件について当事者であるキッズライン社の再発防止策を含めた対応や考え方を知りたい状況であるにもかかわらず、あたかも自社だけが問題だったわけではないと言いたそうな返答をしてくるというのはどういうことなんでしょう。

 また、駒崎さんも書かれていますが、キッズライン社の問題については、この問題をベストタイムズで記事にした直後にも、また今回の男児わいせつ事件が報じられた後も、類似の被害を訴え出るツイートや匿名での連絡も相次ぎました。また、実際にキッズライン社にお勤めの方から「もはやキッズラインは離職者が増え、内部崩壊同然である」との告発まで寄せられる始末です。

 また、キッズライン社はようやく対策について発表をしましたが、警視庁は「被害者のプライバシー保護のために公表を控えるよう要請」などしていないそうです。当たり前ですね、確かに被害者一家がそのまま報じられればプライバシー保護のためにも隠匿すべきですが、警視庁記者クラブで「キッズラインで事件があった」と名指しでレクをしているようで、関わった事業者の公表がプライバシーで問題になるなんて聞いたことがありません。実際に朝日新聞は報じています。どうしてこの段階でなお、キッズライン社は嘘くさい弁明をする必要があるのでしょう。

 ●一部報道に関しての報告および弊社の対策につきまして- キッズライン https://kidsline.me/contents/news_detail/584

 

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山本 一郎

やまもと いちろう

著作家、ブロガー、投資家、経営者

1973年東京都生まれ。著作家、ブロガー、投資家、経営者。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2000年IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。著書に『情報革命バブルの崩壊』『俺様国家中国の大経済』『ネットビジネスの終わり』ほか。   ブログ「やまもといちろうオフィシャルブログhttps://lineblog.me/yamamotoichiro/  

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