機動破壊炸裂!ホームスチール、重盗…… 健大高崎の強さの秘密に迫る |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

機動破壊炸裂!ホームスチール、重盗…… 健大高崎の強さの秘密に迫る

「走力」で高校野球を牽引し続ける健大高崎が取り組むノート

「高校生離れしたノート」

 ふだんは情熱溢れる指導をする葛原コーチだが、一方でとても几帳面で、物事を細かく整理していくという性格の持ち主でもある。

 その葛原コーチのマインドをよく表しているのが、高校時代に書いていたという野球ノートだ。葛原コーチは高校時代、三重県の四日市工業高校でキャプテンを任されていた。その野球ノートは高校生徒は思えない深い考察が記されている。例えばこうだ。

 

~以下、葛原コーチノート抜粋~

『秋季県大会決勝 
四工 12-10 海星(延長11回)

<4回裏>
3番 レフト前ヒット
4番 センター前ヒット
5番 空振り
一塁ランナーのリードが大きかったので、秋葉には、けん制を呼びかけた。
秋葉は精いっぱいで、それどころでなかった。
一、二塁の一塁けん制はもっと練習すべきだ。

6番 一塁内野安打
このような当たり前を予想できていなかった。
尾上には一言かけておいたが、梅山には、もう少し動いてもらいたいし、内野のコミュニケーション

7番 5E‐3(サードエラーの間に1失点)
間に合わないと思った。とっさに体でとめた。
判断は適当であったと思う。

8番 死球 (押し出しで1点を献上)
秋葉はきれかけで、余裕も無かったのは確かだったと思う。
ツーボール、ツーストライクまでいい球がきていたので、もったいなかった

9番 ライトオーバーの三塁打 (3失点)
山際の判断ミス。球場を知りつくしていない。やるべきことができていなかった。

1番 ファーストゴロ
2番 サードゴロ
気持ちは分かるのだが、ツーナッシングから投げる球ではない。
秋葉は気持ちに余裕がなかった。岡本は察してボールを一球投げさせるべきだと思った。

<5回裏>
4番 ライトへの二塁打
同じく球場を全く知っていない。今日は、山際の弱気が目立った。

5番 ライト前ヒット (1失点)
カスミ風に流された。仕方なかった。

6番 5E-3
自分の尺度かもしれないが、精いっぱいのプレーだっと思う。
相手にはうまくかわされた。

7番 6-4-3
見ていた限り普通のゴロだった。タイミングはギリギリ、梅山にも、全く余裕がない。
内野陣は、梅山に気をつかってプレーしているので、先生が言われた通り「自分の自信は自分で取り戻してもらいたい」

~葛原コーチノート抜粋以上~

 これ以降も、6回裏と9回裏の守りの場面が、ノートに細かく記載されている。

「秋の県大会の決勝戦で海星と試合をしたんですけど、これがすごい試合になったので、分析しようと思ったんです。自分で気に食わなかった場面をスコアブックのように書いて、そのシーンはどうするべきだったのかをずっと書いていきました。ポイントとなった、4、5、6、9回を分析して、いつ見ても分かるようにしておきたかった。
 このあと、監督からも赤ペンでコメントをいただいて、気持ちを共有してもらったので、これは他の選手たちにも話しておこうと思ったんです。それで、選手だけのミーティングを教室でやったんですけど、野球ノートを壇上で開いて、黒板を使って試合の振り返りをしました」

次のページ分業制で確立された指導体制

KEYWORDS:

オススメ記事

RELATED BOOKS -関連書籍-

野球ノートに書いた甲子園3
野球ノートに書いた甲子園3
  • 高校野球ドットコム編集部
  • 2015.08.11