来るべき宅配便60億個時代。外国人労働者の活用も考えるべき段階に
【宅配・物流崩壊】を物流コンサルタント・角井亮一氏が徹底解説 3/3
●残念ながら業界から「競争の原理」は取り除けない
シズカ…そういった取り組みで急増し続ける配達物を処理していくのね。気になるのが、宅配業者の業界団体が業界全体の待遇改善を求めるような動きにはならないのかしら?
角井…業界全体に波及することは考えづらいですね。例えば、もし私が日本郵便の経営者ならヤマト運輸が値上げしても追随しようとは思いません。むしろ、私は、値段を据え置いてシェアを伸ばします。もっと言えば、最初は値上げせず静観しておき、1年後くらいに「ヤマト運輸が値上げした分の半分でいいですよ?」と持ちかけるでしょう。
トオル…ビジネスの世界はシビアだよね……。
角井…私が力を込めて、行政や運送事業社に提言しているのが、航空会社の“燃油サーチャージ”のような料金システム「燃料サーチャージ」「人件費サーチャージ」を宅配業界全体で導入することです。この方法なら値上げするときにも一律となりますから、不公平感はありません。もし人件費や燃料費が上がっても、かかったコストに応じて正々堂々と値上げできます。
トオル…海外旅行に行くときの燃油サーチャージって「しょうがないな」となるもんね。
角井…しかし、経営者の心理的には「ウチだけ導入して、お客さんが離れたらどうしよう」となっているのが現状です。再配達の有料化も前から検討されていますが、同じ理由で導入はされていません。結局のところ、各業者がチキンレースをしている状況なのです。間違いなくネット通販の需要は急増していきますから、早い段階での解決が求められていますよね。