よく聞く「お若いですね」は失礼
言葉遣いの基本は「敬語」 押さえておきたい敬語の実例 ⑨
◆年配の方には「お若い」より、個性をほめる
ある程度の年齢の人に、「お若いですね」というのは、ほめ言葉になっているようです。
そのためか、テレビ番組などでも、お年寄りが登場すると、「おじいちゃん、とてもお若いですね」「おばあちゃん、びっくりするほど若いですよ」などと、大げさにほめるのをよく聞きます。でも、ただ「若い」を連発していたのでは、聞くほうに「どうせ社交辞令だろう」と受け止められるかもしれません。
また、ほめたつもりでも、年配の方をムッとさせる表現があるので、それにも気をつけないといけません。
たとえば、「もうそんなお歳なんですか」「そんなお年寄りには見えませんよ」「年齢の割にはお元気ですね」では、ほめ言葉になっていないばかりか、むしろ相手の老いを強調する表現ともいえるでしょう。
「おばあちゃんは十分にお若いですよ。年齢には見えません」なども、悪気がないとしても、言われたほうは決して愉快ではないでしょう。
加齢による衰えは人それぞれですが、それを押しなべて「若い」の一言でカバーされては、見え透いたお世辞を言っているようにしか思えません。
心が明るくなるような励ましの言葉として伝えるには、もう一ひねりした表現にしたいもの。それには、人それぞれの個性や能力を評価して、いいところにスポットライトを当てることです。
姿勢がよく、しっかりとした足取りで歩く人なら、「○○さんは、骨格がしっかりしているから姿勢もいいんですね。本当にカクシャクとされていて、とてもパワフルな印象を受けます」というように言ったらどうでしょう。
このほうがさっそうと元気に歩く姿が目に見えるようです。
年齢を重ねた方をほめるのにぴったりな言葉のひとつに「矍鑠・カクシャク」がありますが、これは年齢を重ねても元気で丈夫な様子を表すもの。
特に男性に対しての言葉ですが、「お若いですね」より「カクシャクとしていらっしゃいますね」としたほうが、ずっとエネルギッシュに感じられ、ご本人もうれしく思うのではないでしょうか。
◆年配の方をほめる場合には
× 年齢の割にお元気ですね
〇 カクシャクとされていますね
〇 お肌のつやがいいですね
〇 おっしゃることに重みがあります
【ワンポイント】
「若い」が、ほめ言葉ではない
【『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】