20代の賢い買い分け「コンビニ、スーパー、ドラッグストアで、何を買って何を買わない?」
【続・コンビニが日本から消えたなら 渡辺広明×原田曜平先生×大学生研究員でガチ対談②】
■スイーツとワンハンドが「コンビニ買い!」のキーワード
原田:では、若者はコンビニへ何を買いに行くのか?
佐藤:コンビニで買うのは、コンビニスイーツ。新商品の情報やお得なクーポンが届けられたり、新商品の試食会などのイベントに参加できるなど、コンビニスイーツをテーマとした一般ファン参加型のSNSによる情報発信プロジェクトが各コンビニで盛り上がっていて、それがすごく話題となっています。
原田:どこのが一番美味しいとかあるの?
内山:個人的にはローソンですね。
渡辺:ロールケーキで始まって、去年バスチーをヒットさせて。ゴディバとのコラボもね。ローソンとファミマは女性向けの商品開発に力を入れています。ただし、男性もターゲットに含んだ定番スイーツが少なくなってきているんですよ。27年間、僕が買い続けたエクレアがなくなったんです、ファミマの店頭から。ファミマに行く回数が減っちゃいましたね。
原田:女子ウケのものの方がインスタに載って広がっていく可能性が高いから。
渡辺:女子に火が点いたものには男子がファンとなっていくので、間違った戦略ではないのですが。さまざまなタイプのお客さんの日常に応えるというコンビニの方向性を鑑みると、男女比のバランス感覚を見直すべき時が来ているというのが、私の見解です。
原田:実はこの数年、様々な業界で「男性消費」へ注目が集まっています。化粧品業界でも、まだまだ数は物足りないのかもしれないけれど、男性化粧品が続々と生まれています。よく考えてみると、これは良いことかどうかは分かりませんが、男性の方が収入は多いし、コンビニにおいても男性の方が消費単価が高いはずです。
渡辺:各社男女の客単価は公表していませんが、業界では、財布の紐は女性より男性が緩いので、タバコ単品買いの購買者を除くと10%程度高いと言われています。
宮本:あと、おにぎりとかの軽食も買います。
原田:コンビニのご飯って美味しいの?
宮本:美味しいです。
渡辺:コンビニ食は相当進化しています。僕らの頃は、コンビニでお弁当を買っていたんですけど、若い世代のみなさんは、弁当じゃないんですよ。ワンハンドでいけるもの。
原田:スマホを四六時中触っているジェネレーションZのみなさんにとっては、ワンハンドがキーですよね。だからタピオカが流行ったという側面もある。
宮本:おにぎりとか肉まんとか。確かに弁当を買っているのはサラリーマンの方しか見たことないかも。
伊藤:僕買ってます。帰ってから家で食べる時。
原田:美味しい?
一同:美味しいです。
渡辺:セブン美味しいって言う人多いよね。
一同:セブン美味しい~!!
原田:そんなに差がある?
一同:あります!!
内山:私もお弁当を買います。普通のも買うんですけど、『金の』でおなじみのセブンプレミアムゴールドや、ファミリーマートのお母さん食堂の商品の方が頻度高く買いますね。レンジで温めるだけなのに、すごく美味しいので、コンビニも進化しているなって、買うたびに感じます。
渡辺:家庭でお皿に盛り付けしたなら、これ、手作りとしか思えないですよね。ただしファミマの惣菜パッケージはもう少し若者向けになるとみなさん的には嬉しいのでは…。セブン-イレブンは、価値のあるPB商品をという号令を出し、セブンプレミアムゴールドをスタートしました。このプロジェクトは素晴らしいことですよね。
■コンビニでしか買えない限定モノはクオリティが高くウケている。そして「シェアできる」モノも購買意欲を掻き立てる
佐藤:あとは、雑誌のコンビニ限定付録など、コラボ商品が最近すごくあり、これも私たちの周りでは話題になっています。他にはお泊りセット緊急用とローソンで売っているミニコスメを購入しています。
渡辺:コンビニでしか買えない限定商品が多いからね。ローソン限定ポーチイン つながるインテグレートとか。二つに分かれているやつ。可愛いですよね。
佐藤:そうです。それすごく便利です!
原田:これも安いものか、付加価値の高い商材、どっちかを買うって感じか。
渡辺:ここでしか買えないというポイントがあると買うんですよね。セブン-イレブンの中本の蒙古タンメンのカップラーメンみたいな。
原田:我々の青春時代は、なんでも買えるという、コンビニの普及期。いつ行っても、こんなに買えるってことに感動した世代なんだけど、今の子たちは、それがベースで当たり前になっているんで、そこでしか買えないっていう付加価値がないと行かなくなっているという。この時代の変化は大きいですよね。
渡辺:中本の蒙古タンメンのカップラーメンや一番搾りのセブン-イレブン限定、BOSSのローソン限定、ハーゲンダッツのファミリーマート限定といったものが売れている。NPB(ナショナルプライベート)商品がとても人気ですね。
Column 渡辺広明氏著『コンビニが消えたなら』より抜粋
コンビニ限定のコラボ商品「NPB」と「トライアングルPB」とは?
コンビニの魅力を取り戻すため、今後は各社ともに新たなPB開発に力を注ぐ必要があります。それは、私が「NPB(ナショナルプライベートブランド)」や「トライアングルPB」と呼んでいる商品です。
NPBとは、PBのようにその店舗にしか置いていないコンビニ限定のNB(ナショナルブランド)です。たとえば、2018年10月、セブン-イレブンはサントリーと共同開発して缶コーヒー「BOSS」の店舗限定商品「セブンプレミアム× サントリーBOSS『セブンズボス』」シリーズを発売しました。既存のブランドイメージにコンビニ限定という付加価値を与え、さらに価格もNBの「BOSS」 より安く設定されています。 一方、トライアングルPBとは、コンビニを含めた3社によるコラボ商品です。 セブン-イレブンでは、2000年代初頭から札幌ラーメンの人気店すみれと日清食品と共同開発してカップラーメンを販売するなど、早い段階からトライアングル PBの開発を行っています。
また、セブン-イレブンでは冷凍食品においても「蒙古タンメン中本」とコラボ商品を開発するなど、魅力的な商品づくりが目立ちます。近年は冷凍技術の進歩によって味も著しく向上しています。このため、コラボ商品では従来の商品よりも単価を高く設定しても十分な購買が見込めます。 なお、コンビニには商品開発のプロジェクトチームが存在します。1つの商品を開発するために、食品メーカーと原材料メーカー、そして工場などと協力しているのです。一方、それ以外にも、もう少しライトなマーチャンダイジングのチームがあり、同じく原材料メーカーや工場と協力しています。私がローソンのバイヤーを務めていたときも、日本製粉や日本ハム、キユーピーなど5社とチームをつくり、 ベーカリーの開発を行っていました。
伊藤:最近、友達を観察していて気づいたのが、ほとんどの女子は授業の合間の休み時間にみんなで分けられるプチお菓子を買っているということ。
原田:みんなで分けられるってところが重要なポイント?
伊藤:いろんな味を楽しめるのがいいと。さらに高校に隣接したコンビニで観察してみると、男子の運動部の子たちが、紙パック、 ペットボトルの飲料を買っていて、女子はジップロックタイプの少量のお菓子を買っていました。短時間で食べ切れ飲み切れる物、ということもキーワードだと感じました。
原田:女子には「お菓子をシェアする」カルチャーが昔からあったと思います。さらに、SNSの普及により、シェアする様子やシェアしたモノをSNSで他の人ともシェアする文化が広まった。シェアをシェアすれば、友達が多いことを周りの人にもアピールできる。SNSでの繋がりが増えたからシェアする機会がさらに頻繁となっているのでしょう。なので「見栄を張れるモノ消費」から「友達とシェアできるコト消費」の方向へと、君たちジェネレーションZの購買衝動は強くシフトしていったということなんだね。今後、アフターコロナの時代、安全にシェアするための包装形式は進化する必要があるだろうけど、友達と繋がっていたいというみんなの気持ちは強いまま変わらないだろうからね。
第3回へ続く
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