「じゃあ、みんなで話すか」とよく言う上司はたいてい残念
上司も部下も必読。「残念な人」の口ぐせ③
■チームワーク重視の時間泥棒「じゃあ、みんなで話すか」
~上司は自分が空っぽだとわかっている~
今回は上司側の話だ。もし、あなたが上司の立場であるなら、ちょっと耳の痛い話であるはずだ。
何か相談をすると、「じゃあ、みんなで話すか」とすぐに言う人がいないだろうか。この手の上司がいるチームは、会議が異常に多いのも特徴だ。
上司の意図としては、チームを巻き込んでいいアイデアを出そうと意図だと思う。
もちろん、たとえば会社の方針として決められた、個人情報保護に関するガイドラインを自分のチームの担当する顧客に対して、具体的にどう運用するかなど、顧客の個別事情を知っている人が参加しないと成り立たないトピックもある。
また、専門知識を持つ担当者を参加させて、ほかのチームメンバーにも一緒に話を聞かせたい、といったようなケースもある。
このように、みんなで話したほうがよいケースがあることは間違いない。
しかし、「みんなで話すか」型上司は、何でもかんでも人を集める。自分で考えなければならないようなことにまでメンバーを付き合わせる。
たとえば、上司自身が作るべき業務報告のために、メンバーを集めていちいち報告させる。
また、次年度の予算など、上司の意志で決めなければならない事項に対しても、いちいち人を集めて意見を出させる。
忙しいときは、メンバーは自分の仕事に集中したいものだが、そんなことはお構いなく、忙しくなればなるほど、「みんなで話すか」がどんどん増えていく。
こういう上司は、実は自分が空っぽだということがわかっている。だから、いちいちメンバーに聞かないと、業務報告すら書けないのだ。
また、本当は自分が決めなければならないことも理解している。しかし、不安で自信がないから、自分では決めたくない。
だから、「みんなで決めた」ことにして、何かあった時の保険をかけておくのである。
もちろん、そんな会議の際にも自分の意見は言わず、「どう思う?」と質問して回るだけである。
勇気を持った社員が、「そんなの自分で考えてくださいよ」などと言おうものなら、「みんなで話したほうがいいアイデアが出るから」などとごまかす。
実際は「自分にアイデアがないから、メンバーに出してもらいたい」ということなのだが、それは決して口にしない。
ただみんなで話したところで、よいアイデアなど出ないのだ。
アイデアは責任を持った人間が、死にものぐるいで考えて初めて出てくるものだ。
それは孤独な作業である。
もしみんなにアイデアを出してもいたいのであれば、少なくとも一つはたたき台としてのアイデアを持っていかなければ話にならない。
厳しい話を書いた。上司の気持ちがわからないでもない。実際に不安だから、みんなの話を聞いておきたいだけだ、と自覚している人も多いだろう。
危ないのは、習慣化することだ。こうした口ぐせや行動は習慣化する。習慣化することで、自分の頭で考えなくなってしまうのが一番怖い。
何でもかんでも「みんなで話そう」はダメですよ、上司のみなさん。
【『残念な人の口ぐせ』より構成】