パパが大号泣してしまった、子どもの思いがけないひと言とは?
『新米おとうちゃんと小さな怪獣』より、人気エピソードをダイジェストで紹介
Twitterに投稿する子育て漫画で人気のあおむろひろゆきさん(@aomuro)の最新書籍『新米おとうちゃんと小さな怪獣』の中から、思わずほろりとさせられる育児エピソードをご紹介!
あおむろさんの娘さんが、2歳のころ。お母さんが第二子を身ごもり、つわりで動けなかった時期に、よく父娘ふたりきりで過ごしていたそうです。料理をすれば不慣れで失敗するし、掃除をしてもすぐに散らかされる。買い物帰りに荷物を持ったまま、子どもの遊びに延々と付き合わなければならない。家事をしながら子どもを見るのは想像以上に大変で、そんな毎日を送るうちに気持ちの余裕もなくなり、感情的に子どもを叱る場面も増えてしまったそう。
そんなある日のことです。
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ある週末、とても天気が良かったので、大急ぎでお弁当を作って、公園でレジャーシートを広げてふたりでごはんを食べました。
気が付くとまわりでもたくさんの家族がごはんを食べていて、それぞれが色とりどりの美味しそうなお弁当を広げて楽しそうにしています。それに比べると随分とみすぼらしいお弁当を食べる我が子に対して、なんとも申し訳ない気持ちになりました。
その日の夜、寝かしつけの時にあれこれ振り返って反省し、考えごとをしながら天井を見つめていると、子どもが突然「おとうちゃん」と話しかけてきます。
「ん~?」と返事すると、ニコニコしながら「おとうちゃん、きょうたのしかったね」と言われて、ハッとさせられました。
「こうえん、たのしかったね」
「ボールあそび、たのしかったね」
「おみずでばしゃばしゃしたの、たのしかったね」
「いっしょにアイスたべにいったの、たのしかったね」
「おかいもの、たのしかったね」
ひとつひとつの出来事を思い返しながら言葉を紡いでゆく姿を見て、大人げなくもワーッと泣いてしまいました。まる一日一緒にいたはずなのに、全然気づけていなかった。自分の余裕のなさから子どもが楽しんでいる姿をたくさん見落としてしまっていました。これじゃあ、おとうちゃん失格です。
せわしなく過ぎていく日々。何が正解なのか分からない中で、私たちは様々な選択を迫られます。そしてその選択に自信のない私はいつも、自分を責めてしまう。そこに光を当ててくれるのは、いつだって子どもです。子どもにとって何が幸せなのかは私たちが決めることじゃなくて、子ども自身が決めること。あれこれ思い悩む前に、まずは子どもがどんな表情をしているかしっかりと見守るべきでした。
子どものそばで生活できる時期は、いつか必ず終わってしまいます。それがあと何年なのかは分からないけれど、おとうちゃんは子どもがひとり立ちするその日まで、その幸せにしっかりと寄り添っていこうと思いました。
(『新米おとうちゃんと小さな怪獣』より構成)