パ・リーグはソフトバンクとファイターズが巻き返す。ポイントは?――建山義紀の「野球プロ目線」
楽天、オリックスの躍進、その理由をどうみるべきか。
「二強」がスタートダッシュに失敗した理由
今シーズン、パ・リーグのスタートは二つの意味で私の予想が外れました。
シーズン前、リーグの覇権争いは、昨シーズン日本一の北海道日本ハムファイターズと巨大戦力を誇り優勝を争ったソフトバンクホークスの「二強」を中心に進むと考えていました。
続くのは若手の成長が著しい東北楽天ゴールデンイーグルスそして投手陣が強力な千葉ロッテマリーンズ。しかし、現実はまったく違うものでした。
4月終了時の順位を見るとこんなふうになります。
1位 イーグルス
2位 バファローズ
3位 ライオンズ
4位 ソフトバンク
5位 マリーンズ
6位 ファイターズ
最下位に沈んだファイターズにいたっては借金が13にまで膨れ上がっていました。ホークスにしても貯金が2つあったものの、本来の調子とは言えず、「二強」と予想した二チームがまさかの不調だったのです。たくさんの故障者が出たことがその要因ですが(編集部注:ファイターズは中田翔、大谷翔平、マーティン、杉谷拳士など。ホークスは和田毅、武田翔太、バンデンハーグなど)、それにしてもこれほど低調なパフォーマンスになるとは想像しませんでした。
ではこのパ・リーグの状態から見えてくる「野球」の難しさ、おもしろさとはどんなところにあるのでしょうか。
野球はピッチャーが投げて、バッターが打つという、ある意味単純なスポーツなのですが、4月、上位にいたチームはとにかく「打力」が圧倒的でした。たとえば4月に首位のイーグルスの月間打率は.281、23本塁打とダントツの数字を残しています。同じく2位につけたバファローズのチーム打率もリーグ2位の.266でした。
実は、これはプロ野球を経験したものからすると特異な状態です。というのも、シーズンが開幕したばかりの春先というのはバッターの状態がなかなか上がってこず、ピッチャーが有利とされる、いわゆる「投高打低」の傾向があるからです。それが今シーズに関しては「打つ」チームが勝つという逆転現象が起きているのです。
【◆栗山英樹の心を揺さぶった矢野の言葉とは――】
- 1
- 2