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15歳の美智子さまの社交術

今田美奈子氏との実際のエピソードから

お菓子教室やテーブルコーディネートの研究家で知られる今田美奈子と美内すずえ(画)の共作、『もしもあなたがプリンセスになったら』では、15才の美智子さまに出会った今田美奈子との実際のエピソードが紹介されている。

「お目にかかれて嬉しいわ」

 

 プリンセスの会話について実際の体験談をお伝えしましょう。

 私が15歳の少女の頃のできごとです。両親同士が親しい同年の友人がいて、学校は異なるけど夏休み等には、お互いの家に行ったり来たりして仲良くしていました。あるとき、そのお友だちの軽井沢の別荘に招かれて行きました。ある日の午後同じ軽井沢で過ごされているクラスメートが訪れて紹介されました。間もなく私の友人はお茶の支度をしにキッチンに行ってしまったのです。水からお湯を沸かして整えるまで10分余り、私は生れて初めて会う少女と向き合ったのでした。

 するとその少女はにっこりほほ笑まれて「美奈子ちゃんと言うお名前をきいていたので可愛いお名前の方なので興味をもっていたのよ。お目にかかれて嬉しいわ」とおっしゃったのです。私はすっかり良い気分になり、途端にうちとけたのでした。それにしても当時初対面でそんな会話できる少女など会ったこともありませんでした。

 その日から6年後のある日新聞はその少女の写真と記事で埋めつくされたのでした。皇太子様とご成婚なさると言う女性が、あのとき出会った少女だったのです。

 美智子皇后の独身時代のお話です。民間から初めての皇室入りの女性として果たしてどうなられるのかとさまざまの意見がとびかいました。私は一人、これほどぴったりの女性はなく日本の未来への希望が湧くとともに、さすが帝王教育を受けられた皇太子様(現天皇陛下)でいらっしゃると思ったのでした。プリンセスの会話の実際のお話です。

 初対面の人との会話は台本のないアドリブで初舞台を踏むことです。いかなる相手にも喜んでもらえるのは相手を誉めることです。そして紹介は人生のかけ橋です。未来のプリンセスを紹介して下さったその友人は後に帝国ホテルの社長犬丸一郎氏の夫人として活躍されました。

 (『もしもあなたがプリンセスになったら』より構成)

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今田 美奈子

いまだ みなこ

ヨーロッパ各国の製菓学校やホテル学校で、伝統のお菓子やシュガーデコレーション、テーブルセッティングを学び「今田美奈子食卓芸術サロン」を主宰。2003年テーブルアートでフランス政府より芸術文化勲章受章。2011年フランス政府より製菓で農事功労章受章。日本ペンクラブ会員。2009年新宿髙島屋4階にミュージアムスタイルのティーサロン「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」をオープンし、サロン講座も行っている。湯河原の「銀河館」(ジョサイア・コンドルの建築を楽しむ有形文化財の別荘)や各地で講演を行っている。『名作の中のお菓子物語』他3冊セット(朝日学生新聞社)、『貴婦人が愛した食卓芸術』(KADOKAWA)、『ファーストクラスの生き方』(イースト・プレス)、『お姫さま養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『しあわせを引き寄せる洋菓子の事典』(日本文芸社)他著書多数。


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  • 2017.05.16