「お姫さまベッド」の天蓋にはホコリとコウモリが!? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「お姫さまベッド」の天蓋にはホコリとコウモリが!?

美内すずえも驚いた、知られざるプリンセス暮らし

「一度は天蓋つきのお姫さまベッドで寝てみたい!」模様がえのときにそんな夢を抱いていたのは、あなただけではないはず。お菓子教室やテーブルコーディネートの研究家で知られる今田美奈子と美内すずえ(画)の共作、『もしもあなたがプリンセスになったら』では、フランスで城主生活を送った著者が見聞きした体験をもとに、実際のプリンセスの暮らしが紹介されています。

プリンセスは、天蓋つきのベッドで眠る

 

 プリンセスのベッドは天蓋付きに決っています。装飾用に屋根のように飛び出しているのでベッドカバーは同じもようのシルクの布で覆われています。そして、天蓋もカバーのふちにも絹糸で編まれた組み紐のヘリと玉ころがたくさんぶら下がっているのです。これをポンポンと呼びシルクの布に使われている色彩を合わせて4~5種類の絹糸で編まれる非常に手の込んだ美術品のようなベッドです。

 シルクの組紐のタッセルはヴェルサイユ宮殿でもカーテンのベルトや部屋の飾りにも多く使われています。内側のふとんも掛けぶとんは毛布のみ、シーツで上下とも覆われ、枕元には必ず筒状のクッションがセットされています。全てシルクで紋章がししゅうされています。

 なぜベッドがこうして手間をかけた上質の、しかも華やかであったかと言うとヴェルサイユ宮殿では王は勿論プリンセスもベッドは来客と合う社交の場所であったからです。シルクで上も下も囲まれていると美しいだけでなくあたたかくてここ地良く休めるのです。

 あなたが天蓋付きのベッドで暮らしたいと思うときは天蓋の上に埃がたまるだけでなく窓を開けているときにこうもりが飛び込んできてねころがっていることもあるので気を付けて下さい。

 フランスの名城で、パリの近くのブルイトユ城は現在見学することができます。19世紀の有名な小説家マルセルプルーストが滞在して名作「失われた時を求めて」を書いた部屋には机と共に天蓋付きベッドが今もそのまま残されていて、人間の創造力をかき立てる力を宿していたことが解ります。

 (『もしもあなたがプリンセスになったら』より構成)

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今田 美奈子

いまだ みなこ

ヨーロッパ各国の製菓学校やホテル学校で、伝統のお菓子やシュガーデコレーション、テーブルセッティングを学び「今田美奈子食卓芸術サロン」を主宰。2003年テーブルアートでフランス政府より芸術文化勲章受章。2011年フランス政府より製菓で農事功労章受章。日本ペンクラブ会員。2009年新宿髙島屋4階にミュージアムスタイルのティーサロン「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」をオープンし、サロン講座も行っている。湯河原の「銀河館」(ジョサイア・コンドルの建築を楽しむ有形文化財の別荘)や各地で講演を行っている。『名作の中のお菓子物語』他3冊セット(朝日学生新聞社)、『貴婦人が愛した食卓芸術』(KADOKAWA)、『ファーストクラスの生き方』(イースト・プレス)、『お姫さま養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『しあわせを引き寄せる洋菓子の事典』(日本文芸社)他著書多数。


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  • 今田美奈子
  • 2017.05.16