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秘密の恋の「会話」、プリンセスの扇言葉

扇で好意を伝えるには?

扇子で恋の会話を交わせたら、なんてロマンチックなことでしょう。実際のプリンセスたちは、愛する人に扇子で恋のメッセージを送っていました。お菓子教室やテーブルコーディネートの研究家で知られる今田美奈子と美内すずえ(画)の共作、『もしもあなたがプリンセスになったら』では、プリンセスの暮らしが紹介されています。

◆「私はいつもあなたの近くにいたい」を扇言葉で伝えるには?

 

お姫さまと扇ほどぴったりの小道具はありません。薄絹やレースが使われ甘美な香りがこぼれ、優美な宮廷絵巻が描かれている絵扇や、つぼめたままでも、貝や真珠やすかしもようの細工がほどこされた豪華なものまでさまざまあります。東洋のお姫さまたちにも使われていました。

 女性が社交界に参加し、ドレスの絹ずれの音がさざ波のように流れた宮中絵巻きの晩餐は中世、カトリーヌ姫がフランスにお輿し入れしたときからです。このときから扇が必ず持たれましたからルネッサンス時代イタリアからフランスに入り世界中に広まったのでしょう。この扇にはひみつの扇言葉があり、貴婦人たちのたおやかな手で扇が愛の言葉を伝えたとのことです。

 ファッションのアパレルのトップメーカー、イトキン株式会社の故名誉会長辻村金五氏が王朝時代の宮廷社交界を彩った扇子に魅せられて、コレクションをされています。辻村氏が原書で調べた扇言葉を記載させていただくと、次のようになります。

 扇子の先を手でふれると、「私はあなたとお話がしたい」。扇子を数回閉じたり開いたりすると「あなたは冷たい」。右目に閉じた扇子を当てると「あなたといつお会いできますか」。扇子を振りながら開いた扇に触れると「私はいつもあなたの近くにいたい」などなどです。

 こうしたこの上なく優雅なプリンセスの扇はルイ15世時代に頂点に達し、19世紀エリザベート皇妃も活用しナポレオン時代を経て終りを告げたようです。

 (『もしもあなたがプリンセスになったら』より構成)

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今田 美奈子

いまだ みなこ

ヨーロッパ各国の製菓学校やホテル学校で、伝統のお菓子やシュガーデコレーション、テーブルセッティングを学び「今田美奈子食卓芸術サロン」を主宰。2003年テーブルアートでフランス政府より芸術文化勲章受章。2011年フランス政府より製菓で農事功労章受章。日本ペンクラブ会員。2009年新宿髙島屋4階にミュージアムスタイルのティーサロン「サロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコ」をオープンし、サロン講座も行っている。湯河原の「銀河館」(ジョサイア・コンドルの建築を楽しむ有形文化財の別荘)や各地で講演を行っている。『名作の中のお菓子物語』他3冊セット(朝日学生新聞社)、『貴婦人が愛した食卓芸術』(KADOKAWA)、『ファーストクラスの生き方』(イースト・プレス)、『お姫さま養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『しあわせを引き寄せる洋菓子の事典』(日本文芸社)他著書多数。


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  • 2017.05.16