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高齢者こそネットに触れろ、SNSを使え。還暦起業家・出口治明氏が目からウロコの指摘

出口治明さん5月毎日更新 Q.29 インターネットの進化に高齢者が追い付けない面がありますが?

「金融商品の売り買いひとつをとっても、高齢者がスマホ上で行うようになったら、どれだけ便利になるか」。ライフネット生命会長・出口治明氏は、インターネットは弱者の武器であり、高齢者こそ使いこなすべき、と語る。

高齢者にスマホの便利さを教えれば、経済も活性化する

 

 インターネットはものすごく便利なので、本来は高齢者との親和性も高いはずです。今本当に便利さを必要としているのは、高齢者ですよ。

 僕の友達では、退職して、年金生活を送っている友人も数多くいます。その中の一人で、大企業の役員だった友人には、当時秘書がついていたのですが、彼は退職した瞬間、何一つできなくなった。全て秘書に頼っていたからです。

 では、どうしたかというと、インターネットの勉強をして、何とか使いこなそうとしたんです。久々に会ったら、スマホを首からぶら下げているんですよ(笑)。

 そして、これまで秘書がやってくれていた仕事は、すべてスマホでできるというのです。1年ぐらい勉強したらしいのですが、「前より便利だ。スマホがなかったら自分は生きていけない」とまでいうのです。友だちと飲む約束をするのも、お店を予約するのも、ゴルフをするのも。要するに昔は全部秘書がやってくれたことが、スマホで簡単にできる。

 変な話に聞こえたかも知れませんが、そういう意味で、インターネットは高齢者など弱者の武器だと思うのです。

 この便利さを、ぜひ高齢者の人にも教えてあげたい。それだけで経済は活性化するし、もともとサービス産業とはそんなものですから。

 金融商品の売り買いひとつをとっても、高齢者がスマホ上で行うようになったら、どれだけ便利になるか。もちろん、セキュリティの問題など課題はありますが。

 アプリなど世の中のネットサービスは、ついつい若者相手に考えてしまうクセがあるようですが、実は高齢者向にこそ、もっともっと真剣にサービス提供していくべきなのかもしれません。SNSにしても、高齢者がその使い方を理解すれば、まったく別の市場が開けるはずです。

 これからの時代、高齢者と社会をつなぐ役割を担う大きな柱の1つは、SNSではないでしょうか。

明日の質問は「Q.30 最後にこの記事の読者にひと言」です。

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出口 治明

でぐち はるあき

ライフネット生命会長。1948年、三重県生まれ。京都大学を卒業後、日本生命に入社。企画部などで経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長などを務めたあと同社を退職。2008年にライフネット生命保険株式会社を開業した。


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