【30万に1人の難病・魚鱗癬】「母ちゃん頑張るからね」いよいよ母子同室! ゆっくりと歩みはじめた我が子との生活
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(28)
難病「道化師様魚鱗癬」を患う我が子と若き母の悲しみと苦しみ。「ピエロ」と呼ばれる息子の過酷な病気の事実を出産したばかりの母は、どのように向き合ったのか。『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』の著作を綴った「ピエロの母」が医師から病名を宣告された日、母は我が子の「運命」を感謝しながら「これからの親子の人生を豊かなものにしよう」と新たなる決意をした。
今回は、難病の我が子と日常のなかで持続的にくらしていくための訓練、はじめての沐浴(もくよく)のお話です。
■母子同室 1回目(沐浴〜移動)
待ちに待った母子同室、1回目。
初めて陽(我が子)と、24時間ずっと一緒に過ごせる。
嬉しすぎて、前日の夜、同室中はきっと寝れないだろうからと、いつもより早く布団に入った。
しかし眠れるはずがなく、どんどん目が冴えてきてしまう。
まるで遠足の前のワクワク感、懐かしい感覚。
そして少し寝不足のまま、病院に到着し、GCU(Growing Care Unit:回復治療室)にいる陽のもとへ向かう。
自然といつもより、少し早歩きで向かう。
途中、すれ違う看護師さんに、
「今日から母子同室ですね!」
「陽ちゃんとの時間、楽しんでね〜!」
と声を掛けて頂き、さらに気持ちが高鳴る。
こんなに早く、我が子とゆっくりと過ごせる日が来るなんて、嬉しくて嬉しくてたまらない。
「陽、お待たせ」カーテンを開き、すぐに声をかけた。
そして予定通り、まずは沐浴。
母親教室で体験した沐浴とは、まるで違う。
痛がらないかと心配していたが、陽はとても気持ち良さそうにしていた。
「もう痛がることはないですよ〜」
「陽ちゃんはお風呂大好きですよ!」
「なるべく、皮膚のためにも清潔にしないとね〜」
看護士さんの言葉に、少しホッとし、沐浴の様子を見守る。
今回は看護師さんのやり方を見て覚え、2回目の母子同室では、私がすることとなった。
陽、お風呂の時間が気持ち良くて、
楽しい時間になるよう、
母ちゃん頑張るね。
沐浴を終え、全身にワセリンを塗り、服を着せて、しばらくゆっくりしていると、担当の先生方や看護師さんが陽のもとに集まり、
「時々、様子見に行きますね」
「陽ちゃん、いよいよやねえ〜!」
「陽ちゃん、いっぱいお母さんに甘えておいで〜!」
と次々に声をかけて下さり、
まだ退院する訳でもないのに、涙が出そうになる。
そして皆に見送られ、小児病棟へ抱っこで移動する。
抱っこしてこんなに歩くのは初めてで、
一歩、また一歩と進むたびに、熱いものが胸に込み上げてくる。
目に溜まる涙をこぼさないよう、上を向きたくても、足下に気を付けて歩くため、下を確認するたびに涙がこぼれ落ちた。
さぁ、今から24時間、
たっぷり親子の時間を楽しもうね。
【参考資料】
本書をもとにCBCテレビ『チャント』にて「ピエロと呼ばれた息子」 追跡X~道化師様魚鱗癬との闘い(6月26日17時25分より)が放送されました。
https://locipo.jp/creative/41a0b114-7ee7-4f24-976c-e84f30d2b379?list=5a767e90-3ff9-479c-a641-e72e77cf42c3
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【参考文献】
『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。