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「女性は決められたことを遂行する能力が高い」パート出身の女性取締役がいる会社、社長の弁

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第2回

やる気を引き出すのに「ほめ」の効果は絶大

――女性社員の能力を引き出すためにいちばん大切なことは何ですか?

 まずは、「考える前にやらせてみる」ことです。社員でもパートでも、女性は仕事をする前から、「私はこういうことしかできない」と仕事の範囲を決めてしまう傾向があります。

 やる前から考えてしまい、自分でバリケードを作っているので、まずはやらせること。やらせてみてできたら、ほめて、おだてる(笑)。やる気を引き出して、モチベーションを高めるために、ほめの効果は絶大です。

 ほめるときに大切なのは、「全員に、平等に、ほめる」こと。女性は不平等をなにより嫌います。私は「今まで教えた中で、こんなに早くできた人はいない」と、全員に同じことを言ってほめていますが(笑)、平等なので妬みを生みません。

――女性の管理職を増やすためのポイントを教えてください。

 今、女性の管理職を増やす取り組みをする企業が増えていますが、多くの会社は根回しが下手なので、実際に管理職になった女性は、案外苦労しています。

 女性を管理職にするには、周到に、時間をかけて、本人がなりやすい環境をつくることが重要です。

 先月、6人目のパート課長が誕生しましたが、彼女の説得にも相当な根回しをしました。いくつかの営業所を統合して新しくコールセンターをつくることになり、一番適任なパートのAさんに「パート課長」をさせたかったのですが、Aさんはやりたがらなかった。

 そこで、時間をかけて外堀を固めていくことにした。Aさんの旦那さん(旦那さんも武蔵野の社員)にも協力をしてもらって、「課長になれるかもしれないんだって? いいなー、やってみたら?」とそれとなく勧めたり、誰よりも最初にAさんをコールセンターに異動させて、後から他のパートを移動させるようにしました。

 新しい部署に移るのが3日違うだけでも、もう上司と部下の関係です。もしも他の人を先に異動させ、後から異動させたAさんを管理職にしたら、パートはAさんの言うことを聞きません。大切なのは、根回しと順番に気をつけること。本人が上司になりやすい環境をつくってあげたうえで管理職にすることが非常に重要です。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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