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15年連続増収を達成した社長「私の会社では賢いパートさんがおバカな社員を動かしています」

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第4回

働き方改革が叫ばれて久しい。ここにひとつの成功例がある。株式会社武蔵野は、数年前からパート社員の雇用環境改善に取り組み、過去最高売上、最高益を更新した。2016年度の従業員アンケートでは、約9割のパート社員が「従業員を大切にする会社である」と回答。ほとんどの会社では二の次にされている、「従業員満足度」が会社にもたらす利益とは。『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)が話題を呼ぶ代表取締役社長・小山昇氏に聞く。

雇用環境を整えたことが、会社の成長につながっている

――従業員満足度を向上させることが会社にどんな利益をもたらしますか。

 

 わが社では1999年以降、毎年、従業員アンケートを実施しています。現場の状況をよく知っているパートさんや社員の声をくみ上げて、現場改善に役立てるためです。

 2000年にはわずか「19%」だったパートさんの満足度は、2016年で「87.7%」と劇的に向上しました。

 従業員アンケートをはじめた頃、会社の経常利益は「2000万円」でした。今は「7億」ですから、35倍です。これは、パートさんの雇用環境を整えて戦力化した結果です。

 私は、お客様満足度よりも先に、従業員満足度を上げるべきだと考えています。お客様満足を上げるのは従業員ですから、お客様満足より先に、従業員満足を上げるのが正しい。

 多くの社長は、従業員満足よりもお客様満足を優先して考えていますが、それは間違いです。自分の仕事に満足していない従業員が、良いサービスを提供できるわけがありません。

――パートさんの従業員満足度が上がった要因を教えてください。

 従業員満足度が上がった要因のひとつは、権限委譲をしていることです。わが社では、パートにも、経営に参画してもらっています。

 普通の会社のパートさんは、おバカな社員から仕事を押し付けられたり、命令されたりするからムカッとくる(笑)。

 ですが武蔵野の場合は反対で、賢いパートさんがおバカな社員を動かしています。パートさんたちが自分たちで勉強会を開いたり、「こうしたほうがいい、ああしたほうがいい」と業務改善をしています。

 年2回(半期に1度)開催する「社内アセスメント」(半期ごとの実行計画を作成する場)には、パートさんが自主的に参加して、改善提案を出しています。

 また毎年11月に開催している「下期政策勉強会」(全従業員を対象とした勉強会)では、従業員アンケートの結果に対して、私からフィードバックをしています。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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