捨てられない「思い出の品」をどうするか?
暮らしを整える片づけの極意②
◆思い出の品もきちんと厳選し、スペースを定めて保管する
私たちにはそれぞれ所有するモノの適正量があり、整理、収納、循環の3ステップを踏むとそれが分かるのだという。一度、適正量に合わせられたならば、その量を維持する必要がある。ひとつ増やしたいならば、その分ひとつ捨てる。新しいコートがほしいならば古いコートをひとつ捨てる。単純だが、この一対一が適正量を維持していく近道となる。
ただし、思い出の品となるとそうともいかない。実用品と異なり、一対一で取捨選択できないのではないか。一般的に、写真、書類、手紙は整理が難しいのだという。特に写真は放っておくとすぐに増えてしまいがち。一体どうすればよいのだろうか。
「思い出は〈取っておくことに意味がある〉わけです。ただし、思い出の品は記憶を引き出すアクセスキーの役割を果たすもので、すべてを取っておく必要はありません。たとえば旅行の写真にしても、記憶のハイライトとなる写真を厳選して残しておけば、人間はそれを見て他のことも一気に思い出すものです。思い出の品も、やみくもに保管するのではなく、スペースを定めて、最大限の量は決めておく必要がありますね」。
◆片づけはゴールではなく、ポジティブな生活への通過点
家の中でまとまった片づけに取りかかるならば、まずはキッチンやクローゼットからというのが吉川さんのおすすめだという。
「スペースが目に見えて分かるのと使用頻度がとても高いので、片づいた時に達成感がありますよね。その点、納戸や物置は向きません。まずは格段に使いやすくなったのを〈体感〉することが重要です」。
それでも、どうしても腰が重くて片づけに取りかかる気になれない、という人に向けて吉川さんは最後にこう説いてくれた。
「私たちは生活を豊かにするためにモノを手にするわけです。だから、モノに悩ませられることは、何と本末転倒かと思いますね。片づけはゴールではなく通過点に過ぎません。片づけの先には、仕事がはかどったり、時間に余裕が生まれたり、夫婦円満になったりとポジティブな日常生活が待っています。片づけの力はスポーツや計算と同じ。きちんとした練習をすれば必ず上手になれますよ。大丈夫です!」。
〈『一個人』2017年7月号より構成〉