【難病・魚鱗癬】世界は優しさだけじゃない。でも、母である自分の行動で息子と生きる世界を変えられるかもしれない
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(36)
難病「道化師様魚鱗癬」を患う我が子と若き母の悲しみと苦しみ。「ピエロ」と呼ばれる息子の過酷な病気の事実を出産したばかりの母は、どのように向き合ったのか。『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』の著作を綴った「ピエロの母」が医師から病名を宣告された日、母は我が子の「運命」を感謝しながら「これからの親子の人生を豊かなものにしよう」と新たなる決意をした。
世間の難病への理解は「遠い」。確かに「人は見た目9割」でサッと判断されることもしばしばだ。でも、世間の常識を変えるためには私の行動を変えなければならない・・・。
我が子と住む世界を変えたいと願う若き母の思いを綴りました。
■私自身の行動
私がすぐにでもできること。
まずは下を向かない。そう強く決意をして家を出る。
無理して笑わない。家で陽(我が子)と過ごしている時と同じように、外でも自然に過ごす。
陽に話しかけたりお遊びしたり、いつものように過ごす。
簡単なことだけど、最初はとても難しかった。
しかし、そうしていくだけで私の場合は幾分、気分が変わったように感じられた。
「どうしたの?」と聞いて頂いたり、病気について伝えられる機会も増えていった。
地元の小さな小児科では、病気と関係なく、世間話もできるようになった。
もちろん、まだまだ聞きたくない言葉も聞こえてくるけれど、
自分から「うつらないですよ」と笑顔で言えるようにもなった。
そして私自身が「病気だから仕方がないでしょう」と思っていなくても、私の言動から、そう思われてしまうこともある。
少しでもそうならないためには? 私にできることは?
そう考えて、行動するようにもなった。
皮膚がなるべく落ちないように、しっかりとワセリンを塗り、外出先でも塗る。
衣服の着脱時は、場所を考える。
どれだけケアしても皮膚は落ちるため、常に粘着コロコロを持ち歩く。
椅子などにも、ワセリンが付かないように、大きめのタオルも常に持ち歩く。
とりあえず、すぐに私が行動にできることは、実行していくことにした。
「そんなの下にパッパッて、はらっといたらいいのに~!」とっていただくこともあり、その何気ないひと言に、涙が出そうにもなった。
こうしていることは、ただの自己満足なのかもしれない。
他人から見たら、それぐらいして当たり前のことかもしれない。
けれど下を向いて「帰りたい。帰りたい」と思って過ごしていた場所が、
そうしていくことで、居ることが許されていくような気がした。
誰に許してほしい訳ではない。陽は何も悪いことをしていない。
でも、やっぱり世界は優しさだけじゃない。
冷たく、悲しい現実もある。
少しでも、少しでもそんな思いを減らしたい。
少しでも。
そのためには、まずは親である私自身の行動を変える。
そう心に決めて、日々を過ごすようになり、いま私たちは幸いなことに、周囲の方々の優しさに触れ、陽も家族も笑顔であふれている。
そして勇気を出して、藁(わら)をもつかむ思いで、ある会に参加することにした。
【参考資料】
本書をもとにCBCテレビ『チャント』にて「ピエロと呼ばれた息子」 追跡X~道化師様魚鱗癬との闘い(6月26日17時25分より)が放送されました。
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【参考文献】
『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。
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