結果を出す社長は、できないものは「できない」と言い切る
希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第4回
現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が考える、「パート社員を辞めさせないために大切なこと」とは。
◆あいまいな返事はせず「できる、できない」をはっきりさせる
パートから「こうしてほしい」という要望が出されたときは、「できる、できない」「良い、悪い」をはっきりと答えるべきです。
多くの社長(上司)は、「『できない』と断ったら、辞められてしまうのではないか」と気にして、あいまいな返事でその場をしのぎます。ですが私は、できないものは「できない」と、みんなの前ではっきりと答えるようにしています。
パートが辞めるのは、「できない」と自分の意見を否定されたからではありません。「自分の意見を汲み取ってもらえなかった」からです。
上司が返事を濁したり、先送りしたり、いい加減な対応でやり過ごすと、女性は反発します。
「汲み取る」と、「合意する」は違います。「汲み取る」は、「意見に耳を傾ける」ことです。パートの要望をきちんと受け止め、検討した結果として「できない」と言うのであれば、パートは辞めません。
以前、内勤事務のパートを採用したときのことです。当初は事務だけのつもりでしたが、「お客様に電話をかける」という業務を増やすことにしました。するとパートは、「私たちの仕事は事務です。『電話をかける』とは言われていません。電話をかけるなら辞めます」と不満を口に出したのです。
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