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パートにもiPadを支給。儲かる会社は効率化にお金を惜しまない

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第5回

現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が考える、「限られた時間で成果を出させる秘訣」とは。

◆ パート全員にiPadを支給して、空中戦を仕掛ける

 武蔵野では、パート・アルバイトを含め、全従業員にタブレット端末(iPad やiPad mini計600台)を支給しています。金額にして、「ウン千万円」の投資です。普通の社長は、社員に配布はしても、アルバイトやパートにまで配布することはありません。お金がもったいないから、です。
 でも私は、パート・アルバイトに渡さないほうが、「もったいない」と考えています。
 理由は、次の「4つ」です。

①残業が減る
②業務効率が上がる
③パート同士のコミュニケーションが良くなる
④パートが辞めなくなる

①残業が減る
 かつてのわが社は、とにかく残業が多い会社でした。
 現場は恒常的な人手不足に陥っていたので、他の会社よりも高い給料で、パート・アルバイトの募集をしました。しかし、仕事は楽ではなく、人が定着しませんでした。
 結果として、残ったパートにしわ寄せがいき、繁忙期は極端に残業時間が長くなった。
 残業を減らさなければ、パートは定着しません。けれど、「残業しないで早く帰る」だけでは、お客様にご迷惑をかけます。お客様が離れたら、会社が立ち行かなくなります。
 残業を減らしながらも、仕事の成果は減らさない。そのために、ITを使った業務の効率化に取り組んだ。
 iPadをはじめとするITの活用によって、わが社では、残業時間を大幅に減らすことに成功しました。
 ピーク時には月「76時間」あった残業が、現在は、「17時間」です。しかも残業時間を5分の1以下に減らしたにもかかわらず、売上は前年対比で10%伸ばしています。

 ダスキン商品の棚卸しも、iPadを使うことで、大幅に時間を短縮することができました。かつては、内勤のパートが実際に現物の数を数えていて、棚卸しをすると、いつもの残業に加えて、さらに3〜4時間の残業が発生していた。ですが現在は、入力されたデータを確認するだけで、30秒もあれば終わります。
 また、お客様からクレームが入ると、従来はコールセンターから担当者(営業スタッフ)の携帯電話にメールで連絡をしました。
 ですが、担当者がお客様の近くにいるとはかぎりません。現場に駆けつけるまでに時間がかかると、事態が悪化して、解約につながるおそれがあります。
 こうした課題を解決するため、コールセンターでは、「iPadの位置情報」を活用しています。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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  • 2017.06.09