【難病・魚鱗癬】未来へ‼️「妻のアルバム」辛かった日々と向き合おう! 妻や息子の大切な思い出のために《最終回》
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(45)
難病「道化師様魚鱗癬」を患う我が子と若き母の悲しみと苦しみ。「ピエロ」と呼ばれる息子の過酷な病気の事実を出産したばかりの母は、どのように向き合ったのか。『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』の著作を綴った「ピエロの母」が医師から病名を宣告された日、母は我が子の「運命」を感謝しながら「これからの親子の人生を豊かなものにしよう」と新たなる決意をした。
最終回は、難病に苦しむ我が子と母であり、妻の辛く、ときに悲しい思い出のあった「妻のアルバム」とと向き合った伴侶としての夫の思いが綴られています。優しさと勇気、もう何が怒っても大丈夫。
未来は、家族とともにつくりあげるものだから。
■妻のアルバム
息子が産まれてから数日後。私は気持ちの整理がつかないまま、妻と暮らしていたアパートへ戻ってきた。
息子は入院中。妻は実家のため、現在、アパートには自分ひとり。妻の側にいたいが、仕事の都合上、そうする訳にはいかなかった。
久々のひとり暮らし。部屋が広く、寒く感じる。
やるべきことはたくさんあったので、とりあえず目の前のことを淡々と終わらせていったが・・・、ふとしたときに不安になる。将来のことを色々考えてしまう。これから、どうなるんだろうか。
ある日、部屋の掃除をしてたとき、1冊のアルバムを見つけた。
妻が作ったアルバム。
妊娠中のエコー写真が何枚も貼られている。初めてエコーを撮った時から、入院する直前まで。そのアルバムをひとりで眺め、色んなことを思い出していた。妊娠が分かってからのこの数か月間。ひとつひとつの発見にふたりで喜んでいた。そしてひとつひとつのことに細心の注意を払ってきた。
食べるものに気をつかい、安産祈願にも行き、両親学級に参加して育児の疑似体験をしたり、息子が来たときのために部屋のレイアウトを大きく変えたり、書ききれないほど、たくさんの思い出があった。
アルバムには、写真ひとつひとつに妻の手書きで、コメントが書いてある。
「しんぞうのおとがきこえた!」
「またすこしおおきくなったね!」
他にもあるが‥‥私はこれ以上、写真を見るのが辛くなってきた。
妻が嬉しそうにアルバム作りをしている姿を鮮明に覚えている。不得意と言いながら写真の周りに色紙を切り貼りし、コメントを書き足して、せっせと大切に作っていた。
それが今、辛い。
何でこんな気持ちになるんだろう。
産まれてきてくれたのに。やっと息子に会えたのに。いろいろな感情が押し寄せてくる。
ただ思い出を辛いものにはしたくない。
あの大切に暮らしてきた数か月は決して無駄ではない。先のことは不安がいっぱいだけど、この思い出を超えるようなさらに楽しい思い出を、これからまた作っていけばいいじゃないか。自分にそう言い聞かせた。
息子が産まれたとき、最初はあまりの痛々しさとその驚きに、写真が撮れなかった。
集中治療室で苦しそうな息子の、まともに表情すら分からない姿を撮ることができなかった。
ようやく数日後、妻も私も写真を撮り始め、辛いことがあった時、息子のため、私たちのためにも、そのときそのときの思い出を大切に残そうと、強く思うようになった。
【参考資料】
本書をもとにCBCテレビ『チャント』にて「ピエロと呼ばれた息子」 追跡X~道化師様魚鱗癬との闘い(6月26日17時25分より)が放送されました。
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【参考文献】
『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。
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