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「ボーナスこれしかもらえないなんて社長、ひどすぎる」は大間違い!

希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第8回

 では、賞与は誰が払っているのでしょうか。お客様でしょうか?

 違います。

 賞与は、「社長」が支払っています。

 わが社では、「毎月の給与」と「賞与」を次のように規定しています。
・給与/労働対価(基本給に各種手当を加えたもの)
・賞与/利益の一部配分(業績によっては支給しないことがある)

 お客様が賞与を支払ってくださるのなら、経営状況のいかんにかかわらず、社員に賞与を支給できる。

 ですが実際は、賞与が支給されるとはかぎりません。なぜなら、賞与は、労働の対価ではなく、利益の再分配だからです。

 赤字が続けば利益が出ないので、賞与を出す余裕がありません。利益が少ないときは、賞与ではなく「小与」になります。賞与が出るのは、会社が黒字だから(利益が出ているから)です。

 では、会社を黒字にするのは、誰ですか?

 社長です。

 社員に賞与を払えるかどうかは、社長の腕次第です。

 多くの社員は、賞与がもらえるのは、「自分が頑張った結果だ」と考えます。もちろんそういう側面はある。しかしそれ以前に、社長が「黒字にする」と決定し、そのための方針やしくみをつくり、社員に実行させるから、利益が出て、はじめて賞与の支給が可能になります。

 給与がもらえるのは、お客様のおかげです。ですから、お客様への感謝の心を忘れてはいけない。

 賞与がもらえるのは、社長のおかげです。ですから、社長にお礼を伝える。

 私が社長になってしばらくの間は、賞与を出してもお礼を言ってくる社員は皆無でした。それどころか、「額が少ない」と文句を言う社員が多くいた。

 ですが、今では、賞与支給日になると、社員からも、パートからも、感謝の言葉がたくさん寄せられます。社員が「賞与が少ない」と文句を言うなら、それは、「賞与は社長が支払うもの。労働対価ではない」ことを明確にしていない社長自身の責任です。

<『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』より構成>

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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