エマニュエル・トッド理論で読む「日本会議」。彼らの目的は“直系家族”の復活
Q4:安倍政権、天皇家といった日本の象徴も直系家族的と言えますか?
英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。それを学ぶ意義はわたしたち日本人にとっても大きい。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏が、トッドの家族システム理論から日本を見通すことの重要性を解く。
日本会議は日本“直系家族”会議
安倍首相が心酔しているお祖父さんの岸信介元首相※は、山口県の役人だった佐藤家の次男です。それが父親の実家の岸家に養子に入り、東京に出てエリート官僚になった。先ほど言った移民や移住者はより直系家族的になるという原則通りになった。
(※編集部注 直系家族からはじき出された次男、三男ははじき出されて歴史をつくる原動力となる。安倍首相の祖父、岸信介氏のストーリーからして直系家族的である)
安倍さんのブレーンや取り巻きは、旧生長の家出身者からなる「日本会議」のメンバーが中心ですね。彼らは「日本“直系家族”会議」と言えるほど、主張の中身は直系家族理念そのもの。
ちなみにフランスでもナチス占領下にペタン政権というのができたことがあります。これはパリ盆地に典型的な平等主義核家族とは異なる、フランスの直系家族の理念を背負っていて、ペタン政権の標語は「国家・家族・労働」だった。日本会議が憲法改正論議で「個人の尊重や男女の平等ばかりでなく、家族の関係を憲法に定義すべきだ」と主張しているのと同根ですね。
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