経営に携わる人なら必ず読むべき3冊とは? ジャパネットたかた創業者の髙田明氏に聞く
髙田明さん7月毎日更新 Q25. おすすめの本3冊を教えてください。
――ずばり、おすすめの本を3冊を教えていただけますか?
まずは、このインタビューの中でも何度かお話しをしてきた世阿弥の本ですね。「風姿花伝」そして「花鏡」。愛読しています。実は世阿弥の本を薦めてくれたのは社員なんですよ。
「社長がいつも言っていることと書いてあることがとても似ているんです」と言ってね。じゃあ、読んでみようかな、と思って手にしたのですが、びっくりしました。
わたしがずっと感覚的にやっていたようなことが書いてあるんです。ずっと昔の人が書いた本ですけれど、現代を生きる人に通じると思いますよ。
ただ古典なので、原書を読むのは非常に難解です。現代風に書き換えて解説が加えられているものもありますから、それでいいと思います。「風姿花伝」はNHKのテキストが一番分かりやすいんじゃないでしょうか。できれば5回ぐらい、繰り返し読むことをお薦めします。
本って面白いもので、自分が経験したことでないとなかなか腑に落ちないものです。
わたしは本にマーカーを引きながら読むタイプなんですけど、みなさんもなるほど、と納得した部分にマーカーを引いてみたりして、全体のうち2割くらいしか引けなかったら、まだ経験が少ないと言えるのかもしれません。そんな読み方もいいと思いますよ。
お薦めの本、もうひとつは『ザ・チョイス』(ダイヤモンド社)がいいんじゃないでしょうか。
著者のエリヤフ・ゴールドラット(1948~2011年)さんはイスラエルの物理学者なのですが、経営科学において画期的な提案をなされた方でした。『ザ・ゴール』の著者、といえば思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
有名な「TOC理論」は経営者の方ではご存じの方も多いでしょう。わたしはゴールドラット博士を敬愛していて、すごい方なんですよ、本当に。「ザ・チョイス」では物事はシンプルであると説いています。
これも私が思っていたことと同じなのですが、複雑にしてしまっているのは人間で、実際には何事もシンプルだということを様々な事例を交えて説いてあるのです。
比較的新しい本で言えば、『HARD THINGS』(日経BP社)がいいですね。わたしは読む本がすごく偏っていて、自身を啓発するものを読むことが多いのですが、これは良かったです。
経営者のような上に立つポジションの人に向けた本で少し難解なのですが、よく読まれているビジネス書です。HARD THINGSとは困難という意味です。
著者のベン・ホロウィッツ氏はシリコンバレーの起業家からも尊敬される投資家であり、起業家でした。ビジネスにおける多くの困難にどう立ち向かって成功をおさめたのか。企業人として、本質はどういうところにあるのか教えてくれます。
一般の方でも得るものは多いのではないでしょうか。最後にもうひとつあげるとすれば……『伝えることから始めよう』。わたしの本です。この本は、難しくないし話言葉で読みやすいですよ(笑)。