本格焼酎を美味しく飲むための最新スタイル
ロックのお湯わり「Rock湯」とは何か?
本格焼酎の飲み方といえば、「ロック」「ストレート」「炭酸割り」「お湯割り」などが一般的だが、まったく新しい「Rock湯」という飲み方が注目を集めている。
Rock湯とは、簡単に言ってしまえば「ロックのお湯割り」のこと。思わず「?」となる方もいるだろうが、この飲み方が旨いのには、きちんとした理由があるという。
芋焼酎「旭萬年」や麦焼酎「旭万年」で知られる宮崎・渡邊酒造場の渡邊幸一朗さんに、その作り方と焼酎が旨くなる理由を教えてもらった。
~作り方~
①ロックグラスにたっぷりと氷を入れ、グラスの半分くらいまで焼酎を注ぎます。
②熱々のお湯を氷めがけて1ccぐらいずつ2~3回に分けて注ぎます。
③この時に直接、焼酎にお湯がかからないよう注意して下さい。
④最後に少しステアして出来上がりです。
⑤お好みや料理に合わせて、氷の上に挽いた山椒や黒胡椒をひとつまみ入れるのもオススメです。
「Rock湯は、昨年からじわじわと広まりつつある飲み方で、今年5月に開催されたプレミアムな野外レストランDINING OUT MIYAZAKIでもメインの鶏料理とのペアリングに採用されています(写真)」と渡邊さん。
では、なぜRock湯で飲むと焼酎が旨くなるのだろうか?
「焼酎の味を構成しているのは、アルコールの中に溶け込んでいる油や香りの成分(約0.02%)と言われています。アルコール中の油は温めることで溶け出し、様々な味わいと香りを出します。お湯割りを作ると、味が薄くなるはずなのに甘みを強く感じたり香りが高くなったりするのはそのせいです」(渡邊さん)。
ちなみに、焼酎の味に甘みを感じるのは糖分のせいではない。なぜなら、焼酎の糖質は0%だからだ。
「通常、水割りを作る場合は、冷たいロックに常温の水を入れるため、ほとんど温度が変化しませんが、ロックにお湯を注いだ場合、一時的にですが温度が上がるため、焼酎の香りと甘みが引き立ちます。日本酒の燗冷ましと同じように、一度高まった(開いた)味わいは冷やしても残るため、通常の水割りよりも特徴的で柔らかい水割りが楽しめるのです」(渡邊さん)。
焼酎の持つ甘みと香りが花開くというRock湯。さっそく今晩、試してみる価値はあるだろう。
〈 7月27日発売、『焼酎一個人vol.1』より構成〉