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「自分はバカだ」と認めてしまう。15年連続増収を達成した社長のコミュニケーション術

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第10回

現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が「社長の声かけ」の重要性について語る。

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◆パートをほめるときは、全員に、同じだけほめる

 

 パートのやる気を引き出して、モチベーションを高めるためには、コミュニケーションを取ることが大切です。

 コミュニケーションの取り方には、声かけ、飲み会、従業員アンケート、面談など、いくつかの選択肢がありますが、もっとも簡単でお金がかからないのは、「社長の声かけ」です。

 声かけのポイントは、「全員に、平等に、ほめること」です。

 みんながいる前では、固有名詞でのほめ方は配慮する。「◯◯さん、ありがとう」と固有名詞を出すと、「えこひいき」と思われやすい。ですから、「みなさん、ありがとう」「みなさんのおかげで仕事が進んでいます」と、全員に向けて声をかけたほうがいい。

 私はかつて、パートの前で、「みなさんのおかげで、今日はいい天気です」と声をかけたことがあります。数人のパートが「バカじゃないの、この人」という顔をしたので、こう続けました。

「私はこんなにおバカですが、それでも会社の業績が上がっているのは、みなさんのおかげです!」

「自分はバカだ」と認める私に、パートは親近感を持ってくれた。それ以降、会社の雰囲気が明るくなりました。

 個人をほめるのは、「みんながいないとき」にすると、妬みを生みません。

 パート課長・塚田加陽子の息子の大学受験合格を知った私は、「階段ですれ違ったとき」に、「息子が大学に合格したんだってね。おめでとう」と声をかけました。

 塚田は「あ、ありがとうございます! でも、どうしてご存じなんですか!」とびっくりしながら喜んでいました(塚田の上司から報告を受けていた)。

 ほめる回数も、平等にすべきです。私がまだ「日本サービスマーチャンダイザー」(武蔵野の前身)の管理職だったとき、「いつ、誰に、どのような内容でほめたのか」を記録して、部下に対する「ほめの量」が均等になるようにしていた。

 当時部下は30名いましたが、ほめの効果は絶大でした。ほめられたことでやる気を出して、私の率いる支店は、抜きん出た業績を上げた。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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