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「従軍慰安婦問題」のスタート地点、もう一度「河野談話」を考えてみる

「日本軍」はなぜ世界から尊敬されているのか①

慰安婦問題を問題視するほうが理に適っていない

 これまでの論争の経緯など詳細は省くが、ここで立ち戻りたいのは、「日本や日本軍が植民地に対しておこなった非道な行為」という、一般に広まっているであろうイメージについてだ。つまり「朝鮮という植民地に対する日本や日本軍の非道な行為」という点だ。

 いうまでもなく当時の朝鮮半島は日本の植民地ではなかった。だから、そもそも「植民地に対して~」という類の文言は、朝鮮については当てはまらない。

 それを除くとしても、数多くの研究者が明かしているように、当時の日本軍が徴用した「慰安婦」は朝鮮だろうが本州だろうが、日本国内ではどの地方でも募集されていた。当時の新聞に掲載された広告を見れば給与水準も高く、女性を奴隷としてタダ働きさせたわけでもない。

 もうひとつ、今日的な道徳理念などで当時を見るという視点が、そもそも間違っているという点も指摘したい。

 女性の権利問題などを持ち出したりすると話はややこしくなるが、少なくとも軍隊といえば「慰安所」が設置されるというのが当時の世界では常識で、日本に限らず欧米各国も慰安所を持っていた。それは当然のことで何の疑問が挟まれるものでもなかった。

 もっといえば「公娼制度」といって、制限はありながらも売春が国に認められていた時代でもあり、この線で記せば韓国では国家による海外への売春斡旋が外貨獲得の有力手段だった時代もある。

 どちらが正しいということではなく、時代背景を合わせて考えれば、「慰安婦」を徴用したことは当時としてはおかしいことでも何でもなく、それを半世紀も後に「おかしかったのではないか」と問題視するほうが理に適っていないのではないか。そのように思う。

 国際法の世界では「時間を遡って法令を適用しない」のが大原則だが、これに照らすだけでも「慰安婦問題」は“不可思議な現象”に見えてならない。

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熊谷 充晃

くまがい みつあき

1971年生まれ、神奈川県出身。著述家。「日本史」では近現代史をはじめ、奈良朝以前の古代や戦国時代、「西洋史」では古代ギリシャ時代やハプスブルク家、「中国史」では春秋戦国時代や三国時代、ほか世界各地の古代文明などを中心に、気の向くままに歴史探求を続ける。著書に『教科書に載っていない!幕末の大誤解』(彩図社)、『世界文化遺産 富岡製糸場と明治ニッポン』(WAVE出版)、『テレビではいまだに言えない昭和・明治の「真実」』(遊タイム出版)他。


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