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流れ落ちる清水は450年前と同じもの? 織田信長の居館跡

季節と時節でつづる戦国おりおり第306回

金華山の麓にて②織田信長居館跡

 岐阜市歴史博物館の展示を堪能したあとは、岐阜公園内に突入。織田信長の岐阜城山麓の居館跡が、発掘調査の進展とともに徐々に整備されなかなかの見物となっております。

 入り口の冠木門の手前下、広い平坦地はかつて信長の政庁(表御殿?)があったと考えられており、木戸の向こうが居館(奥御殿?)です。内部は、復元された石積みで往事の構造が再現され、思ったよりもやや小ぶりな感覚ですね。

 やや上方にある、現在発掘調査中の区画をパノラマで撮影してみました。雰囲気をお楽しみください。信長の居館を訪れた宣教師・フロイスはこのあたりに4階建ての、天国のような館があったとしています。おそらく傾斜面に沿った高低差に従って、1階から4階まで階段状にしつらえられていたのでしょうね。

 左方には山上から流れ落ちて来る清水の流れが。フロイスは「山から良質の水が流れており、それをせき止めて、管で分けていくつかの部屋に湧き出るようにしている」と記録しました(『エヴォラ版日本書翰集』)が、この流れは450年前、せき止められて溜め池となり、居館内のあちこちに配水されていたものと同じ流れということなのでしょうか。

 最後に、「若き日の信長像」と、その左横に小さく山頂の岐阜城模擬天守を入れてパチリ。炎天の陽もすっかり傾き、影が長くなっていました。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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