“池の水、ぜんぶ抜け”信長かく命ぜり
季節と時節でつづる戦国おりおり第309回
勝幡城跡から、東へ移動。名鉄で二ツ杁まで戻りましたが、バスもタクシーも無い。あっさりあきらめ徒歩でJR枇杷島へと向かいます。徒歩10分程度。
駅前にはチューインガムの工場があり、香料の甘~い匂いが立ちこめています。そういえばお昼もまだ。空腹を感じながら構内に入ると、なんと次の電車まで1時間! ここでもあっさりあきらめ(年とるとあきらめ早いです)、タクシーに乗って一路北東6キロ弱の比良へ。
織田信長の部将・佐々成政の本拠として知られる比良には、蛇池という故地があるのです。
庄内川沿いの緑地に残る蛇池は、全周しても5分あまりくらいの池ですが、かつて「あまが池」と呼ばれ、若き日の信長が、大蛇が出るという噂を聞いて池の水を全部掻い出そうとした場所。
今テレビでは「池の水ぜんぶ抜く」という企画番組が好調らしいですが、「池の水、ぜんぶ抜け」と命じた信長は、450年先を行っていたのです。しかも大蛇が出るかとなれば、さぞ高視聴率が期待できそうです。当時も池の周囲には見物人がつめかけ、近隣の評判となったことでしょう。
でも、信長の時代の技術では結局ムリで、最後は信長みずから潜水して水中を探し、「おらぬ」とあがって来たと『信長公記』にあります。
※写真の蛇池神社は、後世建造されたもの。