見学者に開放的な和歌山城
外川淳の「城の搦め手」第37回
今回も前回に引き続き、和歌山城ネタの最終回。城では、来訪者に対し、どこまで見せ、そして見学を制限するかは、管理する自治体によって基本方針が異なる。和歌山城については、開放的な部類に属する。
このような石段には、立入禁止の立て札が設置されるという例が多いところ、和歌山城では存在しないため、石段を登ってもよいという解釈が可能となる。
右手の石垣上から撮影したのが下の写真となる。
極度の高所恐怖症のため、へっぴり腰での撮影となる。城門をこのような角度から撮影できるのは、とても珍しい。この撮影ポイントは、石垣上であり、柵などは設置されず、しかも雑草などは伸び放題であり、足を踏み外して転落となれば、大怪我という非常事態を起こしかねない。とてもビビリの私の場合、安全確保の上での蟻の歩み的前進が信条のため、幸にも1度も城のなかで大怪我をしたことはない。ただし、未整備の山城や台場で刺系植物でのひっかき傷は日常茶飯事ではある。
城内の危険個所を立入禁止とするのは、転落事故を防ぐための行政としての処置ともいえる。予算があれば、柵を張り巡らすことにより、危険は回避できるものの、城としての景観が損なわれてしまう。あまり好きな言葉ではないが、「自己責任」により、城内における危険な場所にも立ち入るといいうのが、現実的な対処策だと考えるしだい。