柔軟さこそが健康な若さである
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第二十四回
老子第七十六章
柔よく剛を制す
人の生ずるや柔弱にして、その死するや堅強なり
柔よく剛を制す
人の生ずるや柔弱にして、その死するや堅強なり
★柔軟な生、堅強な死
さあ、紀元前の中国に生まれた人類の叡智、世界的名著である『老子道徳経』から、今月は生と死について学んで見ましょう。
私たち人間は、生まれてきた時は、柔らかく、骨まで柔軟です。ところが年と共に、だんだん体が堅くなり、死ぬと硬直状態になります。つまり体の柔軟さは、健康や若さのバロメーターであり、堅さは老化現象といえるのです。
これは体だけではありません。考え方、思考方法も同じです。
若い時は、発想が自由で、考え方も柔軟ですが、年とともに学んだ知識や経験に縛られる上に、現代社会の競争原理、功利主義にさらされているうちに、考え方が狭く硬直し、脳も思考の柔軟さを失って、老化してしまうのです。
★柔軟な頭で発見する楽しいこと
たとえば、最寄りの駅から自宅までの道を、皆さんはどうやって帰られるでしょうか。たいてい最短で、便利な道を通られるのではないでしょうか。そして、特別に用事でも無い限り毎日その道を通って帰宅するようになります。
ところが子供達は違います。駅から帰る道を歩く時も、子供達にとっては、友人と歩く楽しい一時です。道路脇の花を見つけてしゃがんでみたり、街路樹から落ちた紅葉を拾ってみたり、また時には横道に入ったりします。あぜ道を歩いている時など、道ばたのカエルや虫などを追いかけて草むらへ入り、水路にいるオタマジャクシと遊んだりします。
大人にとっては毎日同じに見える行き帰りの道も、頭の柔軟な子供達にとっては、毎日たくさんの興味あることが溢れている、まるでおもちゃ箱のような楽しい遊び場なのです。
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