特急「踊り子号」で修善寺温泉へ
日ごろの疲れを癒しに、日帰り温泉旅
ふらりと日帰り温泉旅がしたくなった。都内から行けそうなところを考えていたら、西伊豆の修善寺温泉が候補にあがった。そういえば、東京駅から修善寺駅まで特急「踊り子号」の直通列車が走っている。「踊り子号」というと、熱海、伊東経由で伊豆急下田へ向かうというイメージがあるけれど、僅かながら修善寺行きもある。この列車には、乗ったことがなかったし、2~3年のうちに現行の車両である185系が引退するようで、そうなると修善寺行きがなくなってしまうかもしれない。廃止がアナウンスされると大騒ぎになる昨今、静かなうちにのんびり「乗り鉄」を楽しみたくて、東京駅から修善寺行き踊り子号の客となった。
修善寺行き「踊り子号」は、伊豆急下田行き「踊り子号」10両編成の後ろに短い5両編成でつながっている。指定席を取ったのだけれど、乗車した車両は、私を含めて数人しか乗っていない。前後の車両も似たり寄ったりの客数だ。平日の昼下がりということもあるだろうが、ちょっと淋しい旅立ちである。これでは、廃止となるか、週末だけの臨時列車格下げになるか、将来がちょっと不安である。
とはいえ、空いた車内から都心の車窓を楽しむのも悪くない。駅弁をほおばりながら、のんびりと過ごせるのだ。
川崎駅、横浜駅から2~3人乗ってきたものの、ガラガラであることには変わりない。車両の構造上、伊豆急下田行きの車両と行ったり来たりできないので、車内販売は、伊豆急下田行きにしかないとのアナウンスがあった。修善寺行きは冷遇されているようだが、これだけ空いていれば商売にならないからやむを得ないのだろう。
旧国鉄の特急電車最後の生き残りである185系は、相当ガタがきているけれど、重厚な走りっぷりは安定感があってよい。大船を出ると、小田原までノンストップ。特急らしい貫録で東海道本線を西へひた走る。
国府津駅を通過するあたりから海が見えてきた。相模湾である。穏やかな秋の日で、波は静かだ。小田原駅を過ぎると、東海道本線の車窓のハイライトともいえる海の見える絶景区間である。早川、根府川あたりでは、相模湾を見下ろすように走る。ほどほどのテンポで進むのが良い。在来線ならではの列車旅である。
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