特急「踊り子号」で修善寺温泉へ
日ごろの疲れを癒しに、日帰り温泉旅
熱海駅に到着。ドアが開くけれど、車両切り離しのため一旦ドアが閉まり、軽い衝撃のあと少しだけバックして、再びドアが開く。ここで外国人のグループが10人ほど乗ってきて車内は賑やかになった。伊豆急下田行きがホームを離れた後、発車。熱海では5分停車だった。車内放送があって、ここからはJR東海の車掌が案内しますとのこと。うっかりしていたが、熱海駅から西はJR東海の管轄なのである。
やがて、列車は丹那トンネルへ。特急列車で在来線の丹那トンネルを抜けるのは、久しぶりだ。近年では、寝台特急「サンライズ瀬戸」以来かもしれない。昼間の特急列車としては、今世紀初のような気がする。
しばらく闇の中を走り、抜けると山の中である。函南駅を通過し、少々進むと三島駅に到着。JR東海の区間はあっけなく終わり、これより伊豆箱根鉄道駿豆線に乗り入れる。再び乗務員が交代、伊豆箱根鉄道の車掌は女性だった。
左手には伊豆箱根鉄道の三島駅のホームがある。「踊り子号」は、JRのホームに停車し、発車後、ガタゴトと線路を渡りながら、伊豆箱根鉄道の線路へ進入していった。これは直通電車しか通らない経路なので貴重な体験である。それにしても、三島駅で乗り換えなしに先へ進めるのは有難い。左へ左へ大きくカーブしながら、いかにもローカル線といった感じの駿豆線を進んでいく。ここからは特急料金不要なのだが、三島からの乗客は自由席にしか乗れないので、車内はゆったりしている。いくつかの駅に停車するものの、降りる人はほとんどなく、外国人グループは修善寺のガイドブックに目を通している。皆、修善寺まで行くようだ。
車窓からは稲刈りが終わった田圃が見え、遠くには伊豆半島の背骨となる山々が聳えている。伊豆長岡駅に停車。温泉街の最寄り駅であるとともに、世界遺産に登録された韮山反射炉が近くにあるので大々的な看板が立っていた。
伊豆長岡駅を出ると、右手には狩野川が寄り添ってきた。川の向こうには荒々しい岩肌の城山(じょうやま)が見える。特徴的な姿は強烈な印象を残す。
その後も川に寄り添うように線路が曲がりくねって進み、三島駅から26分、終点の修善寺駅に到着した。行き止まりの終着駅だが、近年改装されたようで、淋しげな風情はみじんもない明るいターミナル駅だった。
駅前のバスターミナルからバスに乗り換えて10分足らず、修善寺の温泉街に到着した。さっそく日帰り温泉のできるホテルでまったりと湯に浸かり一息つく。その後、桂川に沿ってのんびり歩き、修禅寺にお参りし、朱色の橋を渡って竹林の小径を散策して、日ごろの疲れを癒すことができた。
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