ママ達は過労死寸前「ワンオペ育児」の現状
【ワンオペ育児】を藤田結子氏が徹底解説1/3
牛丼チェーンの「ワンオペ」並みの「ワンオペ育児」
シズカ…はぁ。私、将来の結婚できるのかしら。今の仕事を続けながら家事に子育てって、私にはできない気がする。
トオル…シズカちゃん、結婚なんか考えてるの?
シズカ…当たり前でしょ! 特に「ワンオペ育児」の話を聞いて余計に憂鬱になっちゃって。
トオル…ワンオペ育児? なにそれ。
シズカ…トオル君ってホントなにも知らないのね。でも、よく考えたら私も詳しくは知らないかも。『ワンオペ育児』の著者で、社会学者の藤田結子先生に聞いてみましょうよ。藤田先生、ワンオペ育児の定義を教えてください!
藤田…「ワンオペ育児」というのは、夫婦のいずれか一方が、家事・育児の大半をこなしている状態のことを指す言葉です。数年前に牛丼チェーンでワンオペが問題になりましたよね?
トオル…知ってる! 深夜時間の営業を従業員1人に任せていたんですよね?
藤田…その通り。もともと「ワンオペ」は、飲食店の従業員が1人で何時間もお店を回している過酷な状況のことを指す言葉でした。そうしたブラックな環境が家事育児に追われる女性の姿と重なり、それが転じて「ワンオペ育児」になったんです。
シズカ…問題になり始めたのは最近ですよね?
藤田…そうですね。私もいつごろ広まり始めたのか気になって調べてみたのですが、2014年にTwitterで5件、「ワンオペ育児」というワードが発信されています。どうやら、一番最初に男性が冗談で「ワンオペ育児」と発信したのが始まりのようです。
シズカ…3年前にはネット上でもほとんど使われてなかったのね。
藤田…はい。そこから徐々にSNSを中心に広まっていき、今では女性向けのニュースサイトや雑誌で頻繁に取り上げられるようになりました。私も2016年の9月に毎日新聞のWEB連載でワンオペ育児のことを解説したのですが、反響が大きかったのを覚えています。
シズカ…その解説記事、Yahooのニュースで取り上げられていましたよね! そこから一気にこの言葉が周知された印象です。今だと「コトバンク」にも載っているワードですけど。
藤田…実は、2016年に私が毎日新聞の記事にワンオペ育児の定義を書いたのですが、それが「コトバンク」の解説の元になったようです。
トオル…そうだったんだ! それで先生が第一人者になったんですね。