中国山地ローカル線の旅
新幹線なら35分で行けるところ、丸1日かけて遠回り
岡山駅から津山へ向かい、1泊後、津山駅から姫新線、芸備線をたどり、広島駅まで行く酔狂な旅を試みた。岡山駅から広島駅まで、山陽新幹線「のぞみ」ならたった35分で行けるのに、遠回りをして丸1日かけるのである。中国山地のローカル線は、三江線の廃止が決定しているが、他の路線も決して安泰とは言えないほど採算が悪化している。実情を知るとともに、廃止が宣告されないうちに、応援する意味を込めて乗っておきたいと思う。
津山駅発は、朝の10時5分だが、もし岡山駅を朝出発するとなると、8時7分発の列車で乗り継ぐことができる。私は寝坊したり、列車が遅れたりする不測の事態を考えて、津山駅前のホテルに泊まったのだ。
さて、10時5分発の列車は、津山発、姫新線経由の新見行き。ずいぶん遅い出発かと思う人もいるかもしれない。しかし、その前の新見行きは、早朝の6時11分発。しかも、その列車に乗ったとしても、新見発の芸備線三次方面へ向かう列車は、午後1時過ぎまでない。結局は、10時5分発で向かったのと同じ列車に乗ることになるのだ。何とも閑散とした列車ダイヤである。
列車は、キハ120形という小ぶりなディーゼルカー1両。ボックス席は4つしかなく、あとはロングシートという旅行者にとってはあまり有難くない車両だけれど、何とかその一つを確保。進行方向窓側に陣取ることができた。
津山駅を出ると、しばらくはのどかな田園地帯を走る。吉井川をさかのぼり、由緒ある出雲街道(国道181号)と並走するように進む。ただし、姫新線は、途中で大きく南へ逸れ、美作落合を経由して、今度は旭川に沿って中国勝山に至る。かなりの人が下車したことからも分かるように、ここからは、列車本数が減り、車窓も山岳風景に変わっていく。
険しい山の中では、線路状態も良くなく、時速25キロという低速の制限を受け、おそるおそるといった感じでのろのろ進んでいく。それに反して、車窓は魅力的で見飽きない。
津山を出て1時間40分程で新見着。伯備線と合流する。特急やくもの停車駅でもあるにもかかわらず、新見駅には売店もなく閑散としていた。かろうじて駅近くにお弁当を売っている食堂があったので、飢えることはなく、購入してホームのベンチで昼食にした。
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