中村憲剛「特徴のない選手だった、だからこそ技術を追求した」
中村憲剛選手12月毎日更新 Q3 うまくなるために、向上するために取り組んできたことは?(後編)
子どものころから現在にいたるまで、“止めて蹴る”に特化した練習をひたすらしてきたという中村選手。なぜその練習法に行きついたのでしょうか?
身体能力では這い上がれない
なぜ、“止めて蹴る”という基本こそが大切だという考えに辿り着いたか。
それは辿り着かざるを得なかったと言ったほうが正しいかもしれません。僕は、高校、大学、そしてプロと、カテゴリーが上がるたびに、底辺から這い上がってきた人間。子どものころは足も遅く、身体も弱かったため、自分が意図した位置にボールを置けなければ、すぐに相手につぶされてしまいました。それだけに、華奢な自分がプレーしていくには、正確にボールをコントロールする必要があったんです。
もし自分が、身体が大きかったり、足が速かったりと、身体的な特徴がひとつでもあれば、きっと、そうしたことも考えなかったかもしれません。トラップが多少アバウトでも相手を抑え込むこともできたし、スピードで抜き去ることもできていたでしょうから。際立った特徴がなかったからこそ、僕は技術を追求せざるを得なかったんです。
また、小さいころには身体が大きかったり、足が速かったりと、身体能力がずば抜けていた選手が、カテゴリーが上がるにつれてその特徴を活かせなくなり、つぶれていく姿を幾度も見てきました。だからこそ、今、サッカーをやっている子どもたちには、とことん技術を突き詰めて欲しいなとも思う。ひとりでこだわる部分でもあるから、決して楽しい練習ではないかもしれない。でも、その基礎中の基礎であり、基本中の基本でもある“止めて蹴る”こそが、その後の自分を支えてくれるものになると思っています。
明日の質問は…〈Q4 今季でプロ15年目。チームメイトに対する働きかけは、変わってきましたか?〉です。