「マリーンズを改革したいという思い」井口資仁に引退、即監督就任を決断させた理由
井口資仁監督に聞く。Q10.いきなりの監督で不安はありませんでしたか?
マリーンズを改革したいという思い
監督になる前に現場の外で経験を積んだ方がいいという意見を耳にすることもありますが、僕はそうは思いません。
前回もお話したように「現場を離れる」ことのデメリットをメジャーから日本に戻ってきたときに感じたからです。
現実問題として解説者をさせていただいたとして、どんなに熱心に取材活動をしようとも、実際に采配を振るう経験は積めません。12球団を客観的に見ることができるという利点もあるとは思いますが、それであれば現場にいる方が、相手チームのことを把握できると思った。最終的に監督をやりたいという思いがあって、幸いにもそのチャンスを提示していただけた僕にとっては、現場でしかわからないことが、ほとんどではないか、と考えたわけです。
そういう意味では、コーチとしてキャリアを積むというステップを踏むということもアリでした。コーチをしていれば、自分だったらどういう采配を振るのか、と考えながら試合に臨むとができ、監督になるための準備をすることができる。僕も現役生活の最後の2、3年は、常にそういう視点でベンチに座って試合を見ていましたから。
自分の場合は、いきなり監督のオファーをいただいたわけですけど、もしそれがコーチや二軍監督のオファーだったらどうしたのか……その辺りは、そのオファーの内容とタイミングに関わってくることなので、この場でははっきりと答えられません。ただ、監督というのは、自分から「やらせてください!」と立候補して就く仕事ではないので、オファーをいただいたこのタイミングで受けてみようと思ったことだけは確かです。
それから、もちろん、そういう「監督をやりたい」という自分の気持ちの根底に、このマリーンズというチームを改革したい思いがあったのは言うまでもありません。
今のマリーンズが勝つチームになるためには変わらなければいけない。選手の立場では、なかなかできなかった、そのチームを変えるという仕事。それが監督業の魅力だと今は思っています。だから不安はありませんでしたね。