中央線の新たな魅力、新型あずさの旅
新型スーパーあずさで新宿~松本間を楽しむ
茅野駅を出てしばらくすると、新宿発車以来続いていた複線区間が普門寺信号場で一旦終わり、単線区間に入る。続いて5分程で上諏訪駅に停車。このあたりは特急停車駅が連続し、下諏訪、岡谷と4駅連続に停車する「あずさ」もある。しかし、最速を誇る「スーパーあずさ11号」は、上諏訪の次は、終点松本まで停まらない。さすが「スーパー」を名乗るだけのことはある。
列車は、諏訪湖の東岸に沿って走る。しかし、線路と湖の間は家並が立て込んでいて、車窓からの眺めは悪い。一瞬、湖岸が見えるだけだ。岡谷駅付近では、天空を横切る高速道路の大高架橋のはるか下をくぐり抜ける。このあたりは精密機器の工場が多く、日本のスイスと言われる。そういえば、スイスの隣で同じ山国のオーストリアにあるブレンナー峠でも似たような天空に聳える高架橋を車窓から目にしたことを思い出した。
列車は、1983年に完成した塩嶺トンネルを抜けると、かつてのメインルートだった旧線や名古屋からの中央西線と合流して塩尻駅にさしかかるが、あっけなく通過してしまう。ここからは篠ノ井線に入るけれど、気分的には中央本線が続いている感じだ。松本平を快走し、左手遠くには北アルプスの峰々が聳えている。
車窓を楽しんだおかげで松本までの2時間半の旅は実にあっけなかった。E353系は実に快適で、中央線の旅に新たな魅力が加わった。機会があれば何度でも乗りたいと思う素晴らしい車両である。松本駅のホームでも地元の人たちや、列車から降りた乗客が記念撮影に余念がない。新型車両は沿線では注目の的のようだ。