北海道の近代を開いた最古の鉄道 国鉄手宮線【後編】
ぶらり大人の廃線旅 第23回
■いよいよ手宮の貨物駅跡に
このあたりから線路がもう1本加わって複線となるが、第二次大戦の頃まではこの複線が南小樽までずっと続いていたわけだ。正面に見える手宮の山がいつの間にかだいぶ近づいている。その中腹まで住宅地が広がっているのは、山がちな港湾都市の特徴である。
かつての踏切で道を渡れば転轍機でレールは何本にも分岐し、いよいよ手宮の貨物駅跡に入っていく。ここから先は小樽市総合博物館となっているが、鉄道に特化した博物館として道内外に知名度が高い。ここには北海道の鉄道黎明期を支えた蒸気機関車の「しづか」号などをはじめ、戦後の車両に至るまで国鉄で活躍したいろいろな懐かしい車両が多く見られるのでマニアには嬉しい場所であるが、廃線歩きとしてはその先を詳述する必要もないだろう。帰りは保存運動が実って残された小樽運河に沿って古い建物の案内板を読みながら、小樽駅まで歩いてもそれほど遠くはない。