北大路魯山人が無名時代に九谷焼を学んだ地
「画家」「芸術家」が作品を残した宿②
現代にも息づく魯山人の崇高な精神
酒遊茶論「有栖川山荘」と名付けられた離れは、夜8時から11時までのワインバーとなっている。魯山人がいた時代は、「山座敷」と呼ぶ客室として使われていた。
「食に貪欲だった魯山人のこと。美味しい酒と加賀料理に舌鼓を打ち、談義に花を咲かせたのでしょう」と女将は微笑む。
「魯山人が残した作品や書に囲まれていると、いつも挑戦状を叩きつけられているような気がします。この器にどんな料理が盛れるのか、といった気迫。常に自らを振り返り、基本に立ち返る気づきを与えてくれるのです」とも話す。
館内には現代アートも飾られ、客室には斬新な二層式の源泉かけ流し風呂など、新しい息吹を加えている。伝統を受け継ぎながらも、変革を怠らない宿の精神は、何事にも挑戦した魯山人に通じる。
〈雑誌『一個人』2018年4月号より構成〉
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