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田舎へ帰って、死を身近に感じるようになった理由

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第十四回

■親戚との距離が近くなって、死を身近に感じるように

(画像:フォトライブラリー)

 田舎へ帰って、親戚との距離が近くなったことも、死を身近に感じるようになった理由のひとつだ。

 親が80歳前後なら、親戚のおじさんおばさんもそのあたりの年齢の人ばかり。誰かが旅立てば、参列できない父や母に代わり、ぼくが役目を果たすことになる。

 実際に、数年の間に親戚の葬式への参列を何度か経験した。このような場では「ほら、若い男がお棺を持って」などと言われたりするが、五十代の男が若い部類に入るという現実にも気が遠くなった。人には、白いネクタイを頻繁に締める時期と、黒いネクタイを頻繁に締める時期があるのだと知った。

 自分の父方の親戚にはどんな病気を患う人が多いのか。母方の親戚はなんの病気で亡くなった人が多いのか。東京で暮らしていた頃は考えたこともなかった、おらが一族の病気傾向にも目が行くようになった。

 それでも、これらの死の近さは、否定されるべきものでもなければ、悲しいことでもない。

 子供の頃、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしていた体験のある人と、そうでない人とでは、老いへの理解、高齢者への目の向け方が根本的に違うのではないだろうか。

 線香やぼたもちの匂いが、日常の中にあふれていたほうが学べることもたくさんある。

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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