散りゆく桜もまた良し…お花見の余韻に浸れる名著3選
【旅する書棚。⑦】さまざまな旅先に持っていきたい本を毎回3冊ずつ紹介。
かつて寺山修司は「書を捨てよ町へ出よう」と言ったけど、本がスマホにその座を取って代わられた今こそ、僕らはあえてこう訴えたい。「書を持って旅に出よう」。男の旅には、相棒のような一冊が必要だ。さまざまな旅先に持っていきたい、そして読むだけで旅の気分が味わえる3選。
可憐さ、華やかさ、そして儚さ。
3つの目線で切り取った桜の姿
日本人のDNAに深く刻まれた桜は、撮り方で表情をがらりと変える繊細な被写体でもある。
異なるアプローチから桜を撮影した3冊を紹介し
鈴木理策 熊野、雪、桜
鈴木理策 著
桜の持つ、自然なままの可憐さを
東京都写真美術館で開催された展覧会の公式カタログを書籍化。彼のライフワークである「熊野」と新作(当時)「雪」、そして彼の代名詞とも言える「桜」の3シリーズを収録。今や桜の写真といえば真っ先に名前が挙がる写真家である著者の代表作。淡交社刊
Cherryblossoms
大森克己 著
夢の中にいるような、淡く儚げな情景
通常のリヴァーサルフィルムの他に、室内撮影用のタングステンタイプを採用。それを太陽光下で使うことで、やや青みがかった幻想的な写真に仕上がり、桜の「儚さ」という魅力を一層引き立てている。意欲的な写真表現に心惹かれる作品集。リトルモア刊
京都さくら探訪
ナカムラユキ 著
古都に咲き誇る、華やかな桜を愛でる
嵯峨野で育ち、現在も京都で活動を続けるイラストレーターが、日々を過ごす中で見つけたさまざまな「桜の名所」を、美しい写真とともに紹介。各名所近くにある和菓子屋やカフェ、ギャラリーなどを紹介した「寄り道メモ」も嬉しい。文藝春秋刊
都内のお花見のピークは早くも過ぎたが、その余韻冷めぬ中、本の世界でその名残を楽しんでみては?