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桂・ハリマン協定にまつわる誤謬

2ndシリーズ③「平和ボケ」日本の幕開け

日本の軍部独走・侵略史観に基づく悪玉扱い、逆の「日本は悪くなかった、悪いのは周りの大国だ」という日本小国史観、海外大国による外圧・陰謀史観。これらの歴史観はすべて間違いだ。『学校では教えられない 歴史講義 満洲事変 ~世界と日本の歴史を変えた二日間 』を上梓した倉山満氏が満洲事変の真実に迫る!

桂太郎(1848年~1913年)

■桂・ハリマン協定を日本側が断ったから日米戦争になったんだ、という素っ頓狂な説

 そもそも約束を破ったことが問題である、という話は通じません。こういう人たちを相手に日本は約束を守り続けました。

 ポーツマス条約と北京条約の間に、「桂・ハリマン協定」という出来事があります。時の内閣総理大臣の桂太郎がアメリカの鉄道王エドワード・ヘンリー・ハリマンと、日米共同で南満洲鉄道を経営しようという協定の覚書を交わしたというものです。

 この桂・ハリマン協定を日本側が断ったから日米戦争になったんだ、という素っ頓狂な説があります。確かに日本は断りました。小村寿太郎外務大臣がこの協定を事後に知って強く反対し、破棄の説得に努めて、協定覚書は無効との旨をアメリカ側に伝えました。だから、「あのときハリマンと仲良くしとけば戦争にならなかったのにぃ~」と言いたいらしいです。挙句の果てには、小村寿太郎の清廉潔白さが災いした、とまで論難する人もいました(保守論壇の重鎮だったが、故人のため武士の情けで名を秘す)。

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倉山 満

くらやま みつる

憲政史研究家

1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。

1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。

在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。

著書に、『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(光文社)『日本人だけが知らない「本当の世界史」』(PHP研究所)『嘘だらけの日米近現代史』などをはじめとする「嘘だらけシリーズ」『保守の心得』『帝国憲法の真実』(いずれも扶桑社)『反日プロパガンダの近現代史』(アスペクト)『常識から疑え! 山川日本史〈近現代史編〉』(上・下いずれもヒカルランド)『逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった』(ハート出版)『お役所仕事の大東亜戦争』(三才ブックス)『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』(青林堂)『大間違いの太平洋戦争』『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』(いずれも小社刊)など多数。

現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」(https://kurayama.cd-pf.net/)や「チャンネルくらら」(https://www.youtube.com/channel/UCDrXxofz1CIOo9vqwHqfIyg)などで積極的に言論活動を行っている。

 

 

 

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