さわやかな泳ぎ鯖、濃厚な金華さば…新進気鋭! 大阪「魚庵」の鯖寿司
〈サバジェンヌの 日本全国ごちそうサバです!⑥〉
極上サバのおいしさを最大化する
厳選した鯖だからこそ、その味わいを存分に活かさねばならない。
調味液は、鯖の脂に合わせて、甘み、酸味を考慮した熟練の職人による「黄金比率」。「寿司全体のバランスを大切にする」(赤堀さん)ために、金華さばは濃厚な味わいを楽しむべく身を分厚く切り、少なめになるシャリは甘めの味付けで存在感を出す一方、食感があり旨みのある泳ぎ鯖は身を薄め、シャリの量を多めに仕上げる。
そして「押し方」も重要だ。
目指すのは、口の中に入れたときに「ふわっとほどける感じ」。
『噛むように食べる鯖寿司にしたくないんです』と赤堀さん。


かくして、仕上がった鯖寿司はこのうえなく上品な味わい。
泳ぎ鯖棒寿司は、旨みあふれるしっかりした身の味わいが楽しめ、
金華鯖棒寿司は、とろける脂が体になじむかのようにじんわりと染みていく。
鯖寿司は時として鯖が主張しすぎることがあるが、魚庵の寿司は脂のりだけでなく、旨みもきっちり活かしながら全体を構成しているので、とても軽やか。口の中でなめらかにはらりとほどけおちる酢飯の押し按配も、素晴らしい。
甘すぎない「上質な和菓子」をいただくようなエレガントな味わいだ。
ニューウェーブ鯖寿司!
あたたかいだしで楽しむ「鯖だし茶漬け」
じつは、魚庵では驚きの「ニューウェーブ鯖寿司」も提供している。
それが、鯖寿司をお茶漬けで楽しむという「至福の鯖だし茶漬けセット」だ。柔らかく炊いた、つややかな北海道の求肥昆布にくるまれた「松前鯖棒寿司」はそのままでも美味しいけれど、特製のだしを注ぐとこれが格別!
『料理長が作っているまかないメニューです(笑)。でも、あまりにも美味しいので商品化してみたんです』と赤堀さん。
鯖、昆布の旨みが出ただしと、ほのかにあたたかいサバ、まろやかな酸味の酢飯。目からうろこの美味しさだ。

『まずは魚、有りき。その魚に僕たちができるかぎりのこだわりを尽くしたい。魚に対する愛です』。
日本各地で発掘した逸材が、酢飯の上で鮮やかに躍る。
鯖寿司の名プロデューサー・赤堀さんの鯖への愛がたっぷりしみた鯖寿司を、ぜひ試してみていただきだい。
『魚庵 本店』
■大阪市福島区海老江2丁目8-29
■TEL:06-6147-5205
■https://www.uoan.jp
大阪の老舗「一久味噌醸造」の白味噌を使用し、甘みと旨みが染みこんだ、しっとりやわらかな身が楽しめる「金華鯖の西京漬け」。奈良・喜多酒造の酒粕を使った「金華鯖の粕漬け」も販売している。

サバを楽しみ、サバカルチャーを発信し、サバで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動し、イベント「鯖ナイト」を実施する「全さば連」(全日本さば連合会)広報担当「サバジェンヌ」。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。全編サバづくしの新刊『サバが好き! 旨すぎる国民的青魚のすべて 』(山と溪谷社)も必読!
■全さば連→http://all38.com
■池田陽子→www.yuruyakuzen.com
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