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イギリスはなぜEU離脱を決めたか?英国人ジャーナリストに聞く

「ブレグジット」にまつわる5つの疑問。コリン・ジョイス氏に聞く。

Q3.ブレグジットで経済はよくなる?

■経済はよくならない。

 手短に言えば、少なくとも短期・中期スパンではブレグジットによってイギリス経済がよくなることはないだろう。そもそもブレグジットという道を選んだのは経済的な理由からではない。政治的な理由からだ。経済的にみれば、プラスよりマイナスの方が大きい。そのマイナスがどれくらいで、それは払うべき代償か、ということを考えなければならない。

 振り返ってみれば、キャメロン首相、オズボーン大臣、イングランド銀行、IMF以下体制側は、ブレグジットが与える経済的なダメージを見誤って大げさに言っていたフシもある。「もしイギリスがEU離脱を選べば、すぐに不況となり、緊急予算がつけられる事態になるだろう――」と。しかしこうした最悪のシナリオは現実には起きていない。ポンドは打撃を受けたが、そこから回復してきている。経済成長はゆるやかになったものの、雇用率は過去最高だ。こんなわけでなかなか複雑な状況だ。

 ともあれ繰り返しにはなるが、ブレグジットは経済的には悪い結果をもたらす。ブレグジットは“全ては経済のため”といった類のものではない。より、主権の問題なのだ。

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コリン・ジョイス

1970年、ロンドン東部のロムフォード生まれ。オックスフォード大学で古代史と近代史を専攻。 92年来日し、高校の英語教師、『ニューズウィーク日本版』記者、 英紙『デイリーテレグラフ』東京特派員を経て、フリージャーナリストに。 07年に渡米し、10年帰国。 著書に『「ニッポン社会」入門』、『「アメリカ社会」入門』、『「イギリス社会」入門』、『驚きの英国史』(NHK出版)、 『新「ニッポン社会」入門』(三賢社)など。近著は、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版)。


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  • コリン・ジョイス
  • 2018.01.08