青魚で町が大フィーバー!前代未聞のイベント「サバソニ」って?
サバとアジとダジャレの祭典!?伊東「サバーソニック&アジロックフェスティバル」〈サバジェンヌの 日本全国ごちそうサバです!⑦〉
■初夏に開催される「サバーソニック&アジロックフェスティバル」
サバの産地ではおおむね、マサバのシーズンがスタートする秋にサバイベントが行われる。
しかし、唯一、初夏に開催されるイベントがある。
静岡県伊東市「サバーソニック&アジロックフェスティバル」(略称 サバソニ)。駿河湾や伊豆諸島沖の豊かな海の幸が水揚げされる伊東港で、その水揚げの多くを誇るのがサバ、アジ。夏にはさわやかな脂のゴマサバが楽しめる。観光客、そして地元の人々にも改めて、その魅力を知ってもらうことを趣旨に企画されたイベントで、昨年8月から開催されている。
きっかけは、イベント名からわかるように「だじゃれ」。野外フェス「サマーソニック」「フジロックフェスティバル」をもじっただじゃれを、サバソニ実行委員会メンバーである写真家の武智一雄さんと水産卸売業を営む渡邉将さんが思いついたから、である。
たんなるノリで「3月8日」、サバの日に記者会見を行ったところ、地元で想像以上の反響。その勢いのまま水産業界や、飲食店などに協力を仰いだ結果、開催が決定。市長表敬を行うことになったり、メディアからの取材がなぜかたて続いたりと、テンションマックスになったメンバーたちは、全さば連のもとにも突然、現れた。いったいどんなイベント!?と思ったが、ハイテンションのアツいメンバーの勢いにのまれて協力させていただくことになった。
サバ関係者はおおむね、EHAとDPAが満ち足りているのかだじゃれをとばす傾向がある。全さば連もご多分にもれず、「お疲れサバです」「ごちそうサバです」「ごくろうサバです」は当たり前。
しかしサバソニメンバーは、はるかに、その上をいっていた。
メンバーはとめどなく思いついてしまうのである。
ある日、武智さんから連絡があった。
「ジェンヌさん、コンテストやるから出てくんねえかな?」
「いいですよー、どんなことするんですか?」
「『サバーバ&アジージコンテスト』」。
は?
「なにするの!?」
「……これから考える」
……マジか……。
しかしメンバーが多発する「だじゃれ」はその場限りでは終わらなかった。
イベントは2本立てになった。まず、伊東はじめ伊豆中心の各協力店舗で2週間限定の「オリジナルサバメニュー」や「サバ商品」を販売。サバのパスタ、うどん、カレー、ラーメン、サバサンドなどさまざまなメニューを各店舗で提供することが決まったが、どうやら協力店は「飲食店だけではない」らしい。
ん? なんだか不安になって、オフィシャルHPを見てみると、やはり大変なことになっていた。
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<説明>
『男の中の男。それがサバカット』
『決めるとき、それは今。サバカット』
『夏。サバカット』
『そうか、サバカット』
……サバだじゃれは、伊東市内に蔓延しはじめていた。
かくして、「サバソニ」開催。8月2日、伊東魚市場でメインイベントが行われ、地元はじめ静岡各地からのサバ、アジグルメや、関連グッズを販売、ステージではライブやパフォーマンスを実施。
当日参加して、驚いた。
「とにかく笑える」。
美味しいだけではなく、おもしろい。楽しい! なんだかテンションがあがる!静岡のサバグルメが楽しめることもさることながら、なんといっても「サバ、アジ、ダジャレ」。伊東と伊東の魚を愛するメンバーが、地元を盛り上げようと、徹底的に「愉快で、くだらないアイデア」で「おもしろさ」を追求。
例の「サバーバ&アジージコンテスト」は、「見た目によらない技術・特長をもった『サバ読み』感のある人と、見た目とエピソードに深みのある『アジ』のある人」という相当無理がある募集にもかかわらず、老若男女がステージで盛り上がっていた。
会場には究極のラーメン「エンドレスサバー」はじめ、サバグルメで大賑わい。
ステージでは地元の実力派バンド「島田須可子バンド」が『アジのロックンロール』、『サバ男サンバ』などを熱唱。熱い声援が飛び交う。
かくして「唯一無二」の「美味しい爆笑イベント」は大盛況。約1000人が訪れた。だじゃれパワーは凄いのだ。出店者も来場者も「遊び心」をもって楽しんでこそ、人は集まる。「バカバカしいことに一生懸命取り組む」ことは、素晴らしいことなのだ。それを喚起してしまうサバも凄いのだが……。
前述した黒川理髪店の「サバカット」はテレビで紹介され、杉田石油のサービスは業界紙『月刊ガソリンスタンド』にて巻頭カラー2ページを飾った。
KEYWORDS:
●サバーソニック&アジロックフェスティバル
http://www.sabasonic-ajirock.com/