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利便性や外観重視…忍城(おしじょう)の復元が残念すぎる!

外川淳の「城の搦め手」第64回

■歴史的遺産の破壊、冒涜レベルの「復元」

 平成になると木造再建が主流となるのだが、忍城は鉄筋コンクリート再建の最末期にあたる。基部の石垣は、なれていない業者が必死に積んだといったら言い過ぎだろうか。

忍城三階櫓。お城といえば天守閣という固定概念で建設される。

 昭和末期になれば、「行政の御乱心」ともいわれかねない?三階櫓周辺は、堀や土塁などが整備されたものの、当時の絵図や発掘成果が生かされてなく、
お城の雰囲気が演出された公園というイメージが強い。

 昭和40年代あたりであれば、ありえなくもない話ではあるが、昭和60年代になると、なかなか大胆な演出ともいえる。などと、ちょっと皮肉めいた表現を利用したが、本丸周辺を正確に復元可能なデータが存在しながら、利便性や外観重視の施工をしたことは、城跡という歴史的遺産を破壊するとともに冒瀆するに等しい行為との評価も存在する。

「昭和の築城」から20年以上の歳月が経過したいま、いかに適当な復元であったことを訪問者にわかりやすく説明する案内板を設置するなど、過去の失敗を認めた上での善後策を期待したい。

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外川 淳

とがわ じゅん

1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学日本史学科卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。



戦国時代から幕末維新まで、軍事史を得意分野とする。



著書『秀吉 戦国城盗り物語』『しぶとい戦国武将伝』『完全制覇 戦国合戦史』『早分かり戦国史』など。



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