東海道新幹線[東京-新大阪間]の車窓から発見可能な天守の数は?
外川淳の「城の搦め手」第65回
■「車窓からの天守発見―1」
「車窓発見101番勝負」(ウェッジ)は、外川淳として最初に発刊した思い出多い1冊。そのころは「10冊出せればいいかな」と思っていたところ、30数冊出させていただきました。
今年は、1冊出すことの大変さを痛感しております。「車窓発見101番勝負」は初版?万部で6割ちょっと売れ、もうひと伸びすると、増刷というところで残念ながら……。
以来、だいたい私の単行本は、こんな感じの今一息というパターンが多い。
――ちょっと自虐。もしくは過大評価?――
1つのテーマで本を書くと、その後も追及するというタイプではなく、車窓についても、新幹線に乗ればチェックするという程度であったのだが、最近、「ふとしたこと」から、また興味がわいてきた。
クイズです。東海道新幹線[東京-新大阪間]の車窓から発見可能な天守の数は?
正解の前に定義から……。まず、国内に残存する12の「現存」天守のうち、
東海道新幹線の車窓から発見できるのは彦根城のみ。距離的には2キロ以上離れているが、肉眼で発見することができる。
このカットは堀端のホテルから撮影。車窓からのカットはモノクロのみのための代用。天守の定義として、「現存」だけではなく、「復元」建築も含むとなると、小田原城・名古屋城あたりは、文句なくOKとなる。
掛川城は、考証的に疑問を感じるものの、OK。
清須城は、考証的にも復元位置的にも疑問だらけではあるがOK。
建設からほどなく、編集者時代に取材。遠目で発見したカメラマンが一言。
「あれって連れ込み(ファッションホテル)?」
城のない位置に建設された観光用の熱海城は不可とする。東海道新幹線[東京-新大阪間]の車窓から発見可能な天守の数は、「復元」建築を含むと5棟となる。
次回へと続く。